疑わしい分節音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 08:08 UTC 版)
上表において括弧内の音素(*ć, *š, *ĺ)は限られた証拠しかなく、全ての研究者が再構しているわけではない。サンマッラハティ (1988) は *ć の例がペルム諸語の三つ全てで見られる一方でハンガリー語とオビ・ウゴル諸語には、*ć と *ś のあるなしの語派との一切の相関を見せない「非常に少ない十分な語源説(”very few satisfactory etymologies”)」しかないと指摘している。他の言語では、これらの子音の間の一貫した区別は見いだされない。しかしながら、同論文によると後部歯茎歯擦音の *š の証拠は「乏しいがおそらく決定的である(”scare but probably conclusive”)」。これは *s と、より西部の(フィン・ペルム)諸語でのみ区別して取り扱われているが、インド・ヨーロッパ諸語と同程度に古い確かな借用語には後部歯茎音に遡りうる(*piši あるいは *peši-「料理する(to cook)」を含む)写映形がある。*ĺ の可能性はサンマッラハティ によって少しも考察されていない。対照的に、サモイェード語の証拠がウラル祖語に関する決定に必要であると考えているヤンフネンは *š が再構できるのかを疑っており、これが二次的な、後ウラル祖語の改新(英: post-Proto-Uralic innovation)であると考えることを好んでいる(p. 210)。ただ、一系列の口蓋化阻害音のみが再構に必要であると考えているため、ヤンフネンは *ĺ を除外する点においてサンマッラハティに同意しており、後の記述で彼は口蓋化破裂音 [c] の音価を提案している(p. 211)。
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