畳み込み積分を使った方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 06:07 UTC 版)
「サンプリング周波数変換」の記事における「畳み込み積分を使った方法」の解説
フーリエ変換で、2つの関数f(t), g(t) の積 f(t)g(t) をフーリエ変換すると、結果は、F(w), G(w)の畳み込み積分になる性質がある。 F ( w ) = F [ f ] {\displaystyle F(w)={\mathcal {F}}\left[f\right]} G ( w ) = F [ g ] {\displaystyle G(w)={\mathcal {F}}\left[g\right]} F [ f ⋅ g ] = ( F ∗ G ) ( w ) {\displaystyle {\mathcal {F}}\left[f\cdot g\right]=(F*G)(w)} 但し、 F [ f ] {\displaystyle {\mathcal {F}}\left[f\right]} の [] 記号は、汎関数を表している。 ここで、連続関数に対する畳み込み積分の定義は、 ( f ∗ g ) ( t ) = ∫ f ( t ′ ) g ( t − t ′ ) d t ′ {\displaystyle (f*g)(t)=\int f(t')\ g(t-t')\,dt'} ( F ∗ G ) ( w ) = ∫ F ( w ′ ) G ( w − w ′ ) d w ′ {\displaystyle (F*G)(w)=\int F(w')\ G(w-w')\,dw'} 離散的な場合の畳み込み積分の定義は、 ( f ∗ g ) [ m ] = ∑ n f [ n ] g [ m − n ] {\displaystyle (f*g)[m]=\sum _{n}{f[n]\,g[m-n]}} ただし、上式の [] 記号は、離散的な関数の整数値引数を表している。 対称性により、逆に、F(w), G(w)の積 F(w)G(w) を逆フーリエ変換すると、結果は、f(t), g(t)の畳み込み積分になる: F − 1 [ F ⋅ G ] = ( f ∗ g ) ( t ) {\displaystyle {\mathcal {F}}^{-1}\left[F\cdot G\right]=(f*g)(t)} この性質を利用すれば、f(t), g(t)の畳み込み積分で一気にサンプリングレート変換を行うことが可能である。この場合、f(t)を変換前のPCM波形とすれば、F(w)は、音声のスペクトラムに相当するようなフーリエ変換となる。F(w)の高周波成分をカットするため、G(w)をLPFに相当する関数とする。理想的なLPFとしては、G(w)を「矩形関数(Rectangular function)」とする方法が有るが、G(w)が矩形関数の時、g(t)は、sinc 関数になるので、LPFを通した後のPCM波形は、f(t)とsinc関数g(t)の畳み込み積分となる。 矩形関数(Rectangular function) G(w) : G ( w ) = { 1 , | w | < b 0 , | w | > b {\displaystyle G(w)={\begin{cases}1,&|w|b\end{cases}}} g ( t ) = 1 2 π ∫ − ∞ ∞ G ( w ) e i w t d w = 1 2 π i t 2 i sin ( b t ) = 2 π sin ( b t ) t {\displaystyle g(t)={\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\int _{-\infty }^{\infty }G(w)\ e^{iwt}dw={\frac {1}{{\sqrt {2\pi }}it}}2i\sin(bt)={\sqrt {\frac {2}{\pi }}}{\frac {\sin(bt)}{t}}} 考え方としては、f(t)は、f[n]のような離散的で飛び飛びの場所しかデータがないが、sinc 関数であるところの g(t)は連続関数なので、あらゆる時刻 t の関数値を読み出すことが出来る。だから、f[n]とg(t)の畳み込み積分で、f[n]には存在していない場所のデータまで補完したかのようにデータを読み出すことが出来るようになる。それを利用すれば、上方サンプリング変換でも、下方サンプリング変換でも同様の考え方で処理できる。
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