生物的条件付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/22 23:37 UTC 版)
多数個体が生息することで、その背景の環境に影響が出て、それがその生物の生育に影響することもある。これを環境の生物的条件付けという。これは物理的、化学的、あるいは生物学的な変化として生じる。例えば農業で言う嫌地現象もその一つである。 ヒラタコクヌストモドキの場合、成虫の胸部に臭腺があり、これから分泌されるエチルキノンによって次第にピンク色で臭くなる。この状態における環境の変化は化学物質だけでなく、微生物相にも大きな違いが生まれる。このような状態になるとコクヌストモドキに奇形が生じやすくなり、また原虫による寄生率も高まる。実験的には、産卵数も減少することが知られている。 また、アメリカのトノサマガエル類では、オタマジャクシを狭い容器で飼育すると成長が阻害されることが知られている。面白いのは狭い容器でオタマジャクシを育てた時の水を使って飼育すると、広い容器でもオタマジャクシの成長阻害が見られる。つまり水がオタマジャクシで条件付けられたのである。この原因は1958年にリチャーズによって発見された。彼は10-15μmの粒子を通すフィルターで濾過することで条件付けが解除されることを発見し、また、オタマジャクシが糞をすると効果が強まるのを見つけ、糞中からプロトテカという藻類を見つけ、これが原因であることを突止めた。
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