中心 (代数学)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/03/19 09:14 UTC 版)
数学の分野である代数学において、多元環や群などの中心 (英: center, 独: Zentrum) は考えている構造の部分集合であって、乗法に関してすべての元と交換する元全体からなる。
群の中心
を群とすると、その中心は集合
である。
性質
の中心は部分群である。なぜならば、
と
を
の元とすると、任意の
に対して、
なので、 を中心に入る。同様にして、
も中心に入る。
.
群の単位元 は常に中心に入る。
.
中心はアーベル群で の正規部分群である。
の特性部分群でもある、つまりすべての自己同型で不変である。中心は強特性 (strictly characteristic) でさえある、つまりすべての全射自己準同型で不変である。
がアーベル群であることと
は同値である。
中心はちょうど、 による共役、すなわち
が恒等写像であるような、
の元
からなる。したがって中心を中心化群の特別な場合としても定義できる。
である。
例
- 3次対称群
の中心は単位元
のみからなる、なぜならば:
- 二面体群
は正方形が全く動かないような平面の動きからなる。それは正方形の中心を中心とする角度 0°, 90°, 180°, 270°の回転と、2つの対角線および正方形の平行する辺の中点を通る2つの直線による4つの鏡映からなる。この群の中心はちょうど 0°と 180°の2つの回転からなる。
- 実数を成分に持つ可逆 n×n-行列の乗法群の中心は単位行列の(0 でない)実数倍からなる。
環の中心
環 R の中心は環の元であってすべての元と交換するものからなる。
中心 は R の可換な部分環である。環が中心と等しいことと可換であることは同値である。
結合多元環の中心
結合多元環 A の中心は可換な部分多元環
である。多元環がその中心と等しいことと可換であることは同値である。
リー代数の中心
定義
である。ただし はブラケット積、つまり
の積を表す。リー代数がその中心に等しいことと可換であることは同値である。
例
.
参考文献
- Kurt Meyberg: Algebra - Teil 1. Hanser 1980, ISBN 3-446-13079-9, S. 36
外部リンク
- Zentrum einer Gruppe in der Encyclopaedia of Mathematics (engl.)
- Zentrum eines Rings in der Encyclopaedia of Mathematics (engl.)
- [http://planetmath.org/encyclopedia/Center10.html Zentrum in verschiedenen algebraischen Strukturen bei PlanetMath (engl.)
- 環の中心のページへのリンク