現在の3D映画における35ミリフィルムの使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 00:30 UTC 版)
「35ミリフィルム」の記事における「現在の3D映画における35ミリフィルムの使用」の解説
近年のデジタル3D映画の成功を受け、劇場所有者の中には、上映機器を導入するために必要とされる莫大なコストを抑えてまでも3D映画を上映できるようにしたいと考える者が出てきた。その要望に応えるべく、テクニカラーやパナビジョンといった企業から35 mmフィルム向けの上映システムが新たに出続けているが、これらのシステムは1960年代に導入された"over-under"ステレオ3D映画の最新版ともいえるものである。 観客を楽しませるこれらのシステムは、最小限の改造で通常の35 mmフィルム用上映機器でも上映できるようにするためには必要なもので、"over-under"の一般上映用フィルムが基になっている。これらのフィルムにおいて左右比 2.39:1の非歪像フィルムの映像は、2Dのスコープサイズ向けの左右比が2.39:1の歪像フィルムの映像に変換される。 フレームの寸法は、1960年代から1970年代にかけて使われたテクニスコープの2つ穴のフィルムの規格が基になっているが、左右のフィルムを同時に動かす時に使われるフィルムの規格は通常の4つ穴で、長時間向けの物も含む上映機器への改造は最小限で済む 上映機を通して映し出されるフィルムが回るスピードと、音声が流れるスピードは通常の2Dと全く同じである。 テクニカラーの場合は、左右の目に映る映像を細かく分けることで生じる偏光を利用しており、歪像レンズ(アナモルフィックレンズ)に取り付けるのと同じ方法で、細かな偏光を生み出すレンズを取り付けることが可能である。パナビジョンの方はスペクトラルをふるいにかけるシステムを用いているが、テクニカラーのシステムに似た分光フィルターレンズと組み合わせることで、テクニカラーと同じように使える。偏光デジタル3Dの効果を出すために、テクニカラーのシステムはスクリーンを要するものの、いずれのシステムもそれ以上の改造は不要であり、レンズを付け替えるだけで2Dと3Dの映像を切り替えることが可能である。 2012年6月、パナビジョンは35 mmフィルムおよびデジタル上映機器向け3D事業から撤退した。撤退を実行したのはパナビジョンの代わりに市場向け3Dシステムを行っているDVDPOシアトリカルで、「グローバル経済及び3D市場が厳しくなったため撤退した」と理由を説明している。
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