現代の神話研究と神話学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 23:46 UTC 版)
「ギリシア神話」の記事における「現代の神話研究と神話学」の解説
ギリシア神話の宗教としての「真実」の開示の機能は、このようにしてヘレニズムの時代にその終焉を迎えたと言える。新しく勃興したキリスト教は、まさに神話を否定したプラトーンの思想の延長上にあるとも言えたが、この後、千年以上にわたって続く西欧の精神の歴史のなかで、ギリシア神話はもはや宗教ではなく、この神話に登場する逸話や神々を、自然現象の寓意とも、娯楽のための造話とも見なしていた。 19世紀アメリカの文学者であるトマス・ブルフィンチはギリシア・ローマ神話に関する一般向けの概説書を著したが(Bulfinch's Mythology, 『ギリシア神話と英雄伝説』)、「神話の起源」について次のような四つの説をまとめ紹介している。1)神話は『聖書』の物語の変形である。2)神話はすべて歴史的事実の反映であり、後世の加筆や粉飾で元の姿が不明となったものである。3)神話は道徳・哲学・宗教・歴史の真理などを寓意的に表現したものである。4)神話は多様な自然現象の擬人化である。この最後の解釈は、19世紀初頭のワーズワースの詩作品に極めて明瞭に表出されているとする。
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