献上物・進物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/15 04:08 UTC 版)
カピタンからの贈り物のうち、将軍および将軍世子に対する贈り物を「献上物」、幕府高官への贈り物を「進物」と呼んでいる。進物は、江戸滞在中に老中・若年寄・側用人・寺社奉行・南北の町奉行・宗門奉行・長崎奉行に贈られ、長崎への帰路では京都で京都所司代と東西の京都町奉行に、大坂で大坂城代と東西の大坂町奉行のそれぞれに贈られた。その他、警固の検使・江戸番通詞のほか、江戸・京・大坂・下関・小倉の阿蘭陀宿(後述)にも若干の品々が贈られた。献上される品は、毛織物・絹織物・錦織物類といった反物が主で、他に珍陀(チンタ)酒(赤葡萄酒)や葡萄酒など嗜好品も多かった。 献上物や進物に使った反物の残品は阿蘭陀宿が買い取った。これを「為買反物(かわせたんもの)」または「御買せ反物」という。贈り物として使用する分よりも多くの品を江戸まで運び、残品を旅費の一部にあてるという名目で売却していた。これは習慣化・制度化されて定着し、オランダ商館の帳簿にも計上された。阿蘭陀宿の他、進物を贈られた幕府の高官も、為買反物を市価の5割増しで買い取り、それをさらに約3倍の値段で売りさばいた。献上物・進物の残品販売は、通詞が代参する参府休年にも行われていた。
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