特別な種類の線型結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 21:07 UTC 版)
線型結合において取り得る係数に制限を加えることにより、アフィン結合、錐結合、凸結合などといった関連概念と、それに付随してそれらの操作で閉じている集合という概念を定義することができる。 種類制約条件閉じる空間典型例線型結合 制限なし 線型部分空間 Rn アフィン結合 ∑ ai = 1 アフィン部分空間 アフィン超平面 錐結合 ai ≥ 0 凸錐 四分儀(英語版)/八分儀(英語版) 凸結合 ai ≥ 0 かつ ∑ ai = 1 凸集合 単体 これらの演算は「制限」が追加されているので、それらの演算で閉じているアフィン部分集合、凸錐、凸集合はいずれも線型部分空間を「一般化」するものになっている。つまり、線型部分空間は必ずアフィン部分空間であり凸錐であり凸集合となるが、例えば凸集合は必ずしも線型部分空間やアフィン部分空間や凸錐にはならない。 これらの概念は、特定の種類の対象の線型結合を考えるとき、必ずしもすべてが意味を持つわけではない。例えば確率分布は凸結合について閉じている(したがってそれらの全体は凸集合を成す)が錐結合やアフィン結合(あるいは線型結合)について閉じていない。正値測度は錐結合について閉じているがアフィン結合や線型結合について閉じていない(線型結合で閉じるように符号付き測度を定義することができる)。 線型結合やアフィン結合は任意の体(または環)上で定義できるが、錐結合と凸結合には「正値」の概念が入っているので順序体(または順序環)上でなければ定義できない(ふつうは実数体を考える)。 加法については忘れてスカラー乗法しか考えないならば、(必ずしも凸でない)錐が得られる。しばしば正のスカラー倍のみを許すように定義を制限することもある。 これらの概念は、それぞれ独立に公理化されたものと考えるよりは、ふつう何らかの全体空間としてのベクトル空間の部分集合として定義される(アフィンの場合はさらに「ベクトル空間から原点を忘れる」必要がある)。
※この「特別な種類の線型結合」の解説は、「線型結合」の解説の一部です。
「特別な種類の線型結合」を含む「線型結合」の記事については、「線型結合」の概要を参照ください。
- 特別な種類の線型結合のページへのリンク