無気性発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 15:30 UTC 版)
クロストリジウム属 (Clostridium) のある種の嫌気性バクテリアは糖類を直接酢酸に変換させることができ、中間体としてエタノールを必要としない。これらのバクテリアによる化学反応は全体として次のようなものである C 6 H 12 O 6 ⟶ 3 CH 3 COOH {\displaystyle {\ce {C6H12O6 -> 3 CH3COOH}}} これらの酢酸産生菌の多くはメタノール、一酸化炭素、または二酸化炭素と水素の混合物など、1炭素の化合物から直接酢酸を作り出すことができる。 2 CO 2 + 4 H 2 ⟶ CH 3 COOH + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {2 CO2 + 4 H2 -> CH3COOH + 2 H2O}}} 糖類またはより安価な原料を直接酢酸の製造に利用できるクロストリジウム属の能力は、アセトバクター属のようなエタノール酸化菌より効率的に酢酸を作り出せる可能性があることを示している。しかしながら、クロストリジウム属は酸に弱く、最も酸に強いクロストリジウム属でも数%の酢酸を含む酢しか作れない。一方、アセトバクター属には酢酸濃度20%までの酢を作ることができるものがある。アセトバクター属を使う酢の製造はクロストリジウム属で作った酢を濃縮するよりも価格面でより効率的である。その結果、酢酸産生菌は1940年からその存在が知られているものの、工業的な利用はニッチな用途に限られている。
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