炭焼き権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 04:43 UTC 版)
昔、高根川奥のなめ沢というところに炭焼きの権という正直な男が住んでいた。ある日、炭焼きのための木を割っていたら美しい娘が小さくなり震えているのを見つけた。娘にワケを聞くと、「私は都の連(ヤマト政権時の高位の豪族が保持した称号)の娘で、父の死に際に形見として鏡を渡された。この鏡で映して人の顔をした者と夫婦になりなさいと遺言を残された」と娘は言う。その後、夫となる人を探す道中に黄金の太刀を携えた殿御や牛車に乗った若者、多くの家来を従えた大将を鏡に写したがオオカミや狐などで、人の姿は映らなかった。いく日もいく日も、高台に登っては探したものの見つからなかったが、ついに炭を担いだ男が現れ、ふと鏡取り出し掲げると同じく炭を担いだ男が映っていた。それが炭焼きの権であった。そうして、二人は夫婦となった。ある日、女房が権に小判を1枚渡して買い物を頼んだ。権は買い物の道中、寝ている狐を見つけたので持っていた小判を投げつけ驚かせた。不意を突かれた狐は慌てて逃げた。その後、権はいつも携えてる買い物のための炭が無いので帰った。小判を捨てた話を聞いた女房は、明日の食料が無いと嘆いた。小判がそんなに大事なモノなら沢の奥に山程あると告げ夫婦でその場へいくと、黄金が燦然と輝いていた。そして炭焼きの権は長者の権と呼ばれるようになり、二人は幸せに暮らした。
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