湯灌の約束事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 07:00 UTC 版)
以下、本作の記述による。湯灌は現世の苦しみを洗い流し、来世への生まれ変わりを願う儀式であって、厳格な約束事が定められていた。家持ちでない者の自宅での湯灌は許されていないため、寺院の一角に設けられた湯灌場にて、僧侶立ち会いの上で行なわれる。 湯灌する者の装束 白麻の着物に縄帯をし、縄襷を掛ける。 湯温の調節 たらいに張った水に湯を加える「逆さ水」という方法で温度を調節する。 湯灌の手順 遺体をたらいの中に入れ、死後硬直している手足や顔などに湯をかけて揉みほぐしながら、全身を洗い清める。硬直がきつい場合には、酒粕を溶かした湯をかける。頭髪は火鉢の灰を溶いた灰汁を使って、整髪料を溶かしながら梳く。湯に入れた際、体の穴から体液が漏れ出る場合もあるが、手桶で丁寧にすくい取る。洗い終わると、遺体を筵に寝かせ、体液漏れを防ぐために割り箸を使って肛門や膣に綿を詰め直すと、別の手桶の湯で手をすすぐ。それから家族が帷子(縫った糸の端は結ばない)を着せる。次に僧侶が死人の頭髪を剃刀で剃るが、若い女性の場合には剃髪せず、剃刀を当てる仕草をするだけである。 使用済みの湯の処分 そのまま好きなところに捨てるということはできず、あらかじめ定められた「日の当たらぬ場所」(青泉寺の場合には、艶が行き倒れていた裏の竹林)に流す。
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