活性水素とは? わかりやすく解説

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水素原子

(活性水素 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/17 15:27 UTC 版)

水素原子
水素原子
概要
名称、記号 protium,1H
中性子 0
陽子 1
核種情報
天然存在比 99.985%
同位体質量 1.007825 u
スピン角運動量 12+
余剰エネルギー 7288.969± 0.001 keV
結合エネルギー 0.000± 0.0000 keV
水素原子のモデル電子雲の中に原子核が存在している。このモデルにおいては、ボーア半径の2倍を水素原子の大きさとして表現している。

水素原子すいそげんし: Hydrogen atom)は、水素原子である。1つの陽子と1つの電子により構成されている。水素原子は宇宙の全質量の約75%を占める[1]

水素は地球上では他の原子との化合物(例えば、)を作るか、水素分子(H2)の状態で存在していることが多く、単に水素と言えば一般的には水素分子のことを指す。

電気分解などにより単離した水素原子や、酸素や窒素などと結びついた水素原子は、反応性が高く、その還元作用のため活性水素 (Active hydrogen) と呼ばれる[2][3]

生成と反応

H-H結合は、298 Kでの結合解離エンタルピーが435.88 kJ/molと最も強い結合の1つである。この強い結合のため、水素分子は高温になるまでほとんど解離しない。3,000 Kで解離度は7.85%である[4]

H2 ⇌ 2 H

水素原子は反応性が非常に高く、ほぼ全ての元素と結合できる。

同位体

最も豊富な同位体である水素1プロティウム軽水素中性子を含まない。一方、重水素三重水素等の他の水素の同位体は1つかそれ以上の中性子を含む。下記の式は3つ全ての同位体に対して適用できるが、同位体ごとに若干異なるリュードベリ定数を用いる必要がある。

量子理論的分析

水素原子は単純な二体問題の系として多くの分析的な単純解を生成してきたことから、量子力学量子場理論において特別に重要な意味を持つ。

1913年、ニールス・ボーアは多くの仮定を置いて単純化することで、水素原子のエネルギー準位及びスペクトル周波数を得た。ボーアの原子模型の基礎であるこれらの仮定は完全に正しくはないが、かなり正しいエネルギー値が得られた。ボーアの原子模型では、それぞれのエネルギー準位は整数値の量子数 n で識別され、

固有状態
異なる量子数におけるxz平面上での電子の確率密度

右図は水素原子の最初のいくつかの軌道(エネルギー固有関数)を示している。これらは確率振幅の断面図を表している(黒色は密度0、白色は最大密度である)。角運動量量子数 l はそれぞれの列に示されている(sl = 0pl = 1dl = 2 を意味する)。主量子数 n はそれぞれの行の右に示されている。全ての図において磁気量子数 m は 0 としており、断面図はxz平面である。基底状態、即ち最もエネルギーの低い状態では、電子は常に 1s の状態にある(n = 1, l =0)。

図中で最初の軌道以外に現れる黒い線は、波動関数の節、即ち確率密度が 0 になる地点である(より正確には、節は極座標でシュレーディンガー方程式を解いた時に得られる球面調和関数で表される)。

量子数がこれらの節の形を決める。

出典

  1. ^ Palmer, D. (1997年9月13日). “Hydrogen in the Universe”. NASA. 2008年2月5日閲覧。
  2. ^ 「活性水素」『岩波理化学辞典』第5版、371ページ。
  3. ^ 小項目事典,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典. “活性水素とは” (日本語). コトバンク. 2021年10月18日閲覧。
  4. ^ Greenwood, N. N.; & Earnshaw, A. (1997). Chemistry of the Elements (2nd Edn.), Oxford:Butterworth-Heinemann. ISBN 0-7506-3365-4.
  5. ^ Pauli, W (1926). “Über das Wasserstoffspektrum vom Standpunkt der neuen Quantenmechanik”. Zeitschrift für Physik 36: 336–363. Bibcode1926ZPhy...36..336P. doi:10.1007/BF01450175. 
  6. ^ Kleinert H. (1968). “Group Dynamics of the Hydrogen Atom”. Lectures in Theoretical Physics, edited by W.E. Brittin and A.O. Barut, Gordon and Breach, N.Y. 1968: 427–482. http://www.physik.fu-berlin.de/~kleinert/kleiner_re4/4.pdf. 
  7. ^ Duru I.H., Kleinert H. (1979). “Solution of the path integral for the H-atom”. Physics Letters B 84 (2): 185–188. Bibcode1979PhLB...84..185D. doi:10.1016/0370-2693(79)90280-6. http://www.physik.fu-berlin.de/~kleinert/kleiner_re65/65.pdf. 
  8. ^ Duru I.H., Kleinert H. (1982). “Quantum Mechanics of H-Atom from Path Integrals”. Fortschr. Phys 30 (2): 401–435. Bibcode1982ForPh..30..401D. doi:10.1002/prop.19820300802. http://www.physik.fu-berlin.de/~kleinert/kleiner_re83/83.pdf. 
  9. ^ P.J. Mohr, B.N. Taylor, and D.B. Newell (2011), "The 2010 CODATA Recommended Values of the Fundamental Physical Constants" (Web Version 6.0). This database was developed by J. Baker, M. Douma, and S. Kotochigova. Available: http://physics.nist.gov/constants. National Institute of Standards and Technology, Gaithersburg, MD 20899. Link to R, Link to hcR
  10. ^ Messiah, Albert (1999). Quantum Mechanics. New York: Dover. pp. 1136. ISBN 0-486-40924-4 
  11. ^ LaguerreL. Wolfram Mathematica page
  12. ^ Introduction to Quantum Mechanics, Griffiths 4.89

関連文献

  • David J. Griffiths, David J. (1995). Introduction to Quantum Mechanics. Prentice Hall. ISBN 0-13-111892-7  Section 4.2 deals with the hydrogen atom specifically, but all of Chapter 4 is relevant.
  • Bransden, B.H.; C.J. Joachain (1983). Physics of Atoms and Molecules. Longman. ISBN 0-582-44401-2 
  • Kleinert, H. (2009). Path Integrals in Quantum Mechanics, Statistics, Polymer Physics, and Financial Markets, 4th edition, Worldscibooks.com, World Scientific, Singapore (also available online physik.fu-berlin.de)

関連項目


外部リンク




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