活かされなかった教訓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 16:23 UTC 版)
「アメリカン航空96便貨物ドア破損事故」の記事における「活かされなかった教訓」の解説
この事故を受け、NTSBはアメリカの連邦航空局 (FAA) に対し、強制命令によってDC-10の貨物ドアを改修するよう勧告している。しかし、FAAの上層部はこれを無視し、マクドネル・ダグラス社の出した2つのアフターサービスで事足りるとした。当時同社はDC-10で同じワイドボディ・三発機のロッキード L-1011 トライスターとの熾烈な販売競争を展開しており、自らの欠陥を認めるような命令には消極的であった。また、FAA上層部はダグラスからのリチャード・ニクソン大統領の大統領選挙資金提供を意識し、同社に対し強く出る事を避けたのではないかと疑われた。また、マクドネル・ダグラスのエンジニアリング・ディレクターであったダン・アップルゲート(英語版)も貨物ドアの潜在的な危険に気付き、上司に「アップルゲート・メモ」を提出した。メモでは飛行中に貨物ドアが開く恐れがあることやそれによって急激な減圧が生じる可能性があることが書かれていた。アップルゲートはDC-10を飛行停止にし、必要な改修を行うべきだと提案したが、マクドネル・ダグラスはこれを無視し、代わりに貨物ドアハンドルに小さな改修を施した。 こうして、貨物ドアには小手先の改修がされたが、それも遅々として進まず、実際には改修されていないにもかかわらず改修済みとされた機体まであった。この機体の一つがトルコ航空に売却され、1974年の事故を起した。
※この「活かされなかった教訓」の解説は、「アメリカン航空96便貨物ドア破損事故」の解説の一部です。
「活かされなかった教訓」を含む「アメリカン航空96便貨物ドア破損事故」の記事については、「アメリカン航空96便貨物ドア破損事故」の概要を参照ください。
- 活かされなかった教訓のページへのリンク