氷上回廊と生物多様性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 02:23 UTC 版)
氷上回廊が日本の生物多様性に与えた影響は、大きく分けてふたつある。 ひとつは、この地域の河川が昔はしばしば氾濫して流路を変えていたため(河川争奪)、日本海側と太平洋側の両水域の淡水魚などが入り混じり、分布を伸張するルートとなってきたことである。 もうひとつは、内陸域で最も低い陸上の移動ルートであったことから、日本海側の多雪地に適応した北方系の生き物と、温暖湿潤な気候に適した南方系の生き物など、南北それぞれの気候風土に適応した陸上生物が、ここを通り抜けて分布を拡大してきたことである。地球規模の気候変動に伴う寒冷期には北方系の生き物が南進し、逆に温暖期には、南方系の生き物が北進したと考えられ、現在、この氷上回廊を挟む両側の地域に、それぞれの証拠と考えられる植物分布などが報告されている。また、氷上回廊は、現在も、渡り鳥などの季節移動する生き物たちの移動ルートになっていると考えられており、現代の地球温暖化に際して、南方系の生き物の北上ルートになる可能性も指摘されている。 瀬戸内海側に進出した北方由来の生物の例ヤマメ ホトケドジョウ アブラハヤ ミナミトミヨ ユキグニミツバツツジ エゾエノキ 日本海側に進出した南方由来の生物例オヤニラミ イトモロコ ナガレホトケドジョウ カナメモチ リンボク ヤマモモ モチツツジ シロシャクジョウ
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