水音の落ち合ふところ蕗の薹
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季 語 |
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季 節 |
春 |
出 典 |
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前 書 |
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評 言 |
武田志摩子(1932年~)は、山形県山形市在住で、「波」同人である。 掲句は、最初に水音があって、方々から聞こえる水音を探っていくと、音の世界から一点の蕗の薹に絞られてくるという句。水音は春の息吹、蕗の薹はいのちの象徴である。 そのほか、次の句にひかれた。そのいずれもが身の回りの日常を大事に見つめている。最初から冒険するのではなく、まず写生という態度が思われる。 夫残す一行日記山笑ふ 小さき嘘繕えぬまま遠郭公 八朔の法螺貝大地ゆるがせり いさかひも夫ありてこそ冬瓜汁 田楽に舌焼く昼の女人酒 馬の足洗ふ曲り家水澄めり 夏霞銀の帯なす最上川 公魚釣り底に眠れる村ひとつ 道元を読みつぐ一日雨涼し 初庚申飴の中より寅次郎 月山の黒土匂ふ穀雨かな |
評 者 |
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備 考 |
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