比較対象:占領地のイスラエル人(軍律の対象外)
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「イスラエル国防軍軍律」の記事における「比較対象:占領地のイスラエル人(軍律の対象外)」の解説
占領地に住むイスラエル民間人(入植者など)の裁判は、イスラエルの民事裁判所の管轄となる。イスラエル国防軍兵士は、軍法会議の管轄となる。 イスラエルの人権団体・Yesh Din(英語版)は、イスラエル人による、パレスチナ人を対象とした刑事事件について調査した。 イスラエル民間人による事件(ヨルダン川西岸地区)は、2005-17年の集計によると、1212件の事件の捜査が行われた。内訳は、35%が暴力・脅迫犯罪、46%が財産犯罪、15%が土地犯罪、5%がその他の犯罪だった。集計時で捜査中は49件(4.0%)、起訴事件は94件(7.8%)、不起訴・起訴猶予は1058件(87.3%)、不明は11件(0.9%)であった。また、有罪率は、Yesh Dinの独自調査によると、2005年以降の97件のうち、係争中は14件、判決不明は9件。残る74件中、22件は無罪で、有罪率は70.27%であった。また、事件の9.4%は1つ以上の被疑で部分的に無罪となり、20.27%は刑の執行を免除された。 また、起訴率は2014年は16.3%、2015年は16%であった。ユダヤ・サマリア地区の総事件の起訴率は、2014年は36.44%、2015年は38.37%であった。"Israel Police: Annual Statistical Report 2016"によると、両者の起訴率の違いは、ユダヤ・サマリア地区の事件は、軍事裁判所によるパレスチナ人を被告人とした事件が統計に含まれるためと説明している。すなわち、民事裁判所管轄となるイスラエル人と比較して、軍事裁判所管轄となるパレスチナ人の起訴率が有意に高いことを意味する。 IDF兵士による事件は、2017-18年の集計によると、430件の事件が認知された。2018年までに捜査が行われた事件は84件(19.5%)、起訴事件は3件(0.7%)であった。起訴事件の被告人となった5名(起訴事件の100%)はいずれも有罪となった。傷害事件は捜査が行われないことが多く、捜査が行われたのは被害者の死亡事件が主であった。なお、2018年にはこの他、2015年の兵士2名による過失致死事件が、退役後であったため民事裁判所での裁判となった。被告人は、イスラエル人の起訴率の低さを理由に、恣意的な起訴であるとして無罪を主張し、検察は起訴を取り下げたため不起訴処分となった。 なお、Yesh Dinは、パレスチナ人はイスラエルの司法を軍民問わず信用していないため、被害届を出さずに終わる事件が多数にのぼる可能性を指摘している。
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