母原病説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 08:57 UTC 版)
未だに、自閉症は虐待や過保護が原因である「母原病」であるとの認識は一部に根強いが、それは明確に否定されている。そもそもレオ・カナー自身自閉症児を統合失調がごく幼少期に発現したものと考えており、「自閉症」という言葉も統合失調の無為自閉からきている。なかでも、自閉症研究者として名が知られていたブルーノ・ベッテルハイムが「冷蔵庫マザー」説をたたえ『虚ろな砦』等の著作も広く読まれたこともあって、これらの説が広く社会一般に信じられたばかりか、自閉症児を持つ母親を孤立させ、かえって対策を妨げる結果になったという悪影響が指摘されていたりする。 日本でも、七田眞や岩佐京子らによって「テレビの見せすぎが自閉症の原因」などの環境原因説が流行し、同様に自閉症児を持つ母親を孤立させる弊害を生んだ(岩佐はのちに自説を一部撤回)が、2004年 - 2005年前後にかけて日本大学教授森昭雄が自閉症を持つ子供たちを「おかしい子供」の一言で表現したことなどと発言しており、この手の説は現在も日本で流布されていたりする。 現在では、ごく一部の学者を除いて、自閉症の発症に育て方はほとんど関わっていないとする見解が多数である。幼少期に発症した場合は、小児期崩壊性障害として区別される。
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