死者の日 (メキシコ)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 死者の日 (メキシコ)の意味・解説 

死者の日 (メキシコ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/13 06:24 UTC 版)

死者の日
日付 11月2日
テンプレートを表示
死者の日、墓地の装飾

死者の日(ししゃのひ、ディア・デ・ムエルトス、スペイン語: Día de los Muertos、英語: Day of the DeadまたはAll Soul's Day)はメキシコの伝統文化、風習である。

祝祭

マリーゴールド売りの人々

死者の日には家族や友人達が集い、故人への思いを馳せて語り合う。祝祭はカトリックにおける諸聖人の日である11月1日と翌日2日に行われる。地域によっては、10月31日の晩も前夜祭として祝われる。

祭壇(オフレンダ)

オアハカのオフレンダ

オフレンダ(Ofrenda)と呼ばれる祭壇には食べ物や飲み物、花、ロウソクなど様々なものが飾られる。オフレンダは住居内の中心や玄関先だけでなく、街の中心部の公園や階段等など人目につくところにも置かれる。人々は1年間かけて準備し、墓地も時期が近づくにつれて念入りに清掃、飾りつけを施す。祭壇には基本的に以下のものが飾られる必要がある。

センパスチトル(cempasúchitl)
この時期、メキシコでは農作物が豊富に稔り、センパスチトルという花(センジュギクマリーゴールドの一種、古典ナワトル語:cempōhualxōchitl 〔センポーワルショーチトル、「20の花」の意〕に由来[注釈 1])が咲く時期でもある。「20枚の花びら」という花言葉を持ち、その芳香と華やかな色で死者の魂がこの世に導くための道しるべとなる、と考えられている。市街地はセンパスチトルの香りに包まれ、公園には露店が立ち並ぶ。
パペルピカド(カラフルな飾り切り紙)
パペルピカドは死者の日を祝う喜びと、紙を巻き上げる風を表している。
カラベリタ(どくろ)
カラベラを模した飾りは祭壇のいたるところに置かれ、多くは着色や装飾された砂糖菓子が使われる。カラベラは死の表象であり、「メメント・モリ」の精神を生きる者に思い出させる。
ロウソク
ロウソクの灯は「光」、信仰そして希望を意味するとともに、死者のの行き帰りの道を照らす役割を果たす。
グラスに注いだ水は、長い道のりを経てこの世に戻ってきた死者たちの喉の渇きを癒すためだと考えられている。
塩とお香
死者の魂が安全に戻ってこられるよう場を浄化する、と考えられている。
パン・デ・ムエルト(死者のパン)
もてなしの精神と大地の恵を表している。またパンの形は、死者の頭蓋骨や骨を模したものだ。
飾りと玩具
死者の魂を喜ばせ、そして彼らを再びこの世に迎え入れる嬉しさやもてなしの気持ちを表す。
飲食物
故人が生前好きだった食べ物や飲み物を供え、戻ってきた魂を歓迎する。また、死者の魂はその匂いのみを楽しみ、そして生きる人々と再会できる喜びを共有すると考えられている。アルコールを供えることもあり、これは死者の生前の楽しい記憶を思い起こさせるといわれている。

他にも故人の写真や十字架も飾られる。

メキシコにおける起源

メキシコでは2500-3000年前から、祖先のガイコツを身近に飾る習慣があった。また、死と生まれ変わりの象徴として、他者(多くの場合は敵)のガイコツもトロフィーの様に扱われていた。死者の日の祝祭は地域によって様々な形で生まれ伝承されてきた。

中でも、アステカ族には冥府の女神ミクトランシワトルに捧げる祝祭があった。やがて、死者の貴婦人カトリーナに捧げる祝祭へと形を変え、アステカ暦の9番目の月を祝うようになった。これは現在の8月前半にあたる。その後、スペインからの侵略を受け、カトリック諸聖人の日と融合して今の形になっていった。

カトリックの影響があるないに関わらず、世界中の国々に類似した習慣が残されている。

メキシコ以外における死者の日

メキシコ人が多く住むアメリカ合衆国の各地では「死者の日」の伝統は受け継がれている。その他の中南米諸国においても類似した行事が行われている。

セルゲイ・エイゼンシュテイン

ソビエトの映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインの1931年作品『メキシコ万歳』(ロシア語: Да здравствует Мексика! )には死者の祭りが描かれている。20世紀初頭の祭りの有様が確認できる貴重な資料となっている。

関連項目

この祝日を題材とした作品

脚注

注釈

  1. ^ スペイン語で、センパスチル cempasúchil ともいう。
  2. ^ なお、作品に登場した仮装パレード自体は、作中の架空のものだったが、公開後にメキシコ政府に問い合わせが殺到し、2016年から舞台となったメキシコシティで実際に開催されている[1]

出典

外部リンク


「死者の日 (メキシコ)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「死者の日 (メキシコ)」の関連用語

死者の日 (メキシコ)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



死者の日 (メキシコ)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの死者の日 (メキシコ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS