模様入りの障子紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/30 08:19 UTC 版)
障子紙の中に、紋書院紙と呼ばれる透かし文様が入ったものがある。享保十七年(1732年)刊の三宅也来の『万金産業袋』の美濃国のなかに「紋障子」とあり、元文三年(1738年)刊の伊藤実臣の『美濃明細記』には、武儀川流域で紋透かし紙を漉いていたことが記されている。 また安永六年(1777年)刊の『難波丸項目』に紋美濃そして同年刊の『新選紙鑑(かみかがみ)』のなかの美濃産紙の項に「紋障子」とある。この紋書院紙は、美濃のほか筑後柳川や肥後でも紋書院紙を産し、『諸国紙名録』には、肥後産紋書院紙を「スカシヨシ」と注記している。 美濃紋書院紙では、鹿子(かのこ)・紗綾形・菊唐(から)草・七宝 ・亀甲(きっこう)などの美しい紋様が漉き込まれ、障子以外にも行灯や灯籠などにも用いられた。近年美濃市でつくっている落水紙(美光紙ともいう)には、紋様を入れた紋書院紙風のものもある。 紋書院紙のほかに紋天具(てんぐ)帖というのがある。これは極薄の天具(てんぐ)帖紙に透かし紋様ではなく、胡粉(ごふん)の具などで木版摺(す)りしたもので、のちに型染めで捺染するようになったが、やはり光を透かして美しい紋様を浮かび上がらせて楽しむもので、灯籠などに用いられた。
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