標準年輪曲線の作成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/30 15:29 UTC 版)
年輪年代学では、標準年輪曲線を作成する過程が最も重要である。原則的には、樹木の年輪は生育地域の環境変動を反映し、また種が異なれば変動パターンも異なる。同種であっても樹齢や環境によって個体差が生じる。このため、正確な標準年輪曲線を作成するには、目的とする地域に生育する(した)同種の木について、複数の資料が必要となる。 標準年輪曲線を作成する際には、はじめに同地域に生息する同種の木について、輪切りにした試料をたくさん用意する。それぞれの試料について年輪の幅を測定する。試料によっては虫害や腐朽によって年輪が損害を受けている。また、同一試料内でも枝張りや根張り、あて材などの異常成長部位がある。そのため、こうした部位を避けて年輪を測る。例えば、年輪幅では通常0.01mm程度の精度で測定する。 年輪の幅は、一般的に、若い木では広く、老齢の木では狭くなる。木は外側に木質を形成して成長していくので、若いうちに形成される内側の年輪は幅が広く、外側にいくにつれ狭くなる。樹齢による年輪幅の変化は種に共通であるので、標準化とよばれる数値処理により樹齢による傾向を除去する。この操作によって、気候など広い地域に共通に見られる環境変動のみを反映した年輪の広狭パターンが得られる。いくつかの異なる木について同様のパターンを作成し、平均化することで、個体差を相殺した地域・種に共通の年輪パターン、すなわち標準年輪曲線が得られる。
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