未破裂脳動脈瘤の自然経過に関しての報告
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「脳動脈瘤」の記事における「未破裂脳動脈瘤の自然経過に関しての報告」の解説
画像診断によって発見された未破裂脳動脈瘤が、その後、どのような経過を辿るかについて、数々の疫学研究が行われてきた。以下に、その例を記載する。 国際未破裂脳動脈瘤研究(ISUIA, 2003)脳動脈瘤の破裂率に関して、前向き経過観察(1692例、2686瘤、平均4.1年、6544人・年)を行った研究である。クモ膜下出血の既往のない7 mm以下の未破裂脳動脈瘤のうち、内頸動脈-後交通動脈瘤を除くウイリス(Willis)輪前方の動脈瘤は、ほとんど破裂しないと示された。後方循環の動脈瘤の破裂率は年間0.5%であった。 脳動脈瘤のサイズが7-12 mmの場合、前方の動脈瘤は年間0.5%、後方の動脈瘤は年間2.9%の破裂率であった。 脳動脈瘤のサイズが13-24 mmの場合、前方は年間2.9%、後方は年間3.7%の破裂率であった。 脳動脈瘤のサイズが25 mm以上の場合、前方は年間8%、後方年間10%の破裂率であった。 日本での報告(日本破裂脳動脈瘤悉皆調査、Unruptured Cerebral Aneurysm Study; UCAS)日本脳神経外科学会が主体となって進めた、未破裂脳動脈瘤の自然歴に関する前向き調査である。 調査結果は2012年6月に『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌で報告された。 主な結果は以下の通りであった。1. 日本において治療されていない未破裂脳動脈瘤の破裂率は年0.95%であった。 2. 破裂は小さな動脈瘤でも発生するが、大きな動脈瘤ほど破裂の危険性が高かった。 3. 前交通動脈、内頸動脈-後交通動脈分岐部の動脈瘤は、中大脳動脈の動脈瘤より、破裂率が約2倍高かった。またこれらの部位の動脈瘤は、比較的小さな物でも破裂率は年0.5%以上であった。 4. 不正な突出(bleb または daughter sac)の存在する動脈瘤は、無い物と比較して、約1.6倍の破裂率であった。
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