暗黒舞踏の思想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 02:44 UTC 版)
舞踏の思想は、日本人の身体性へのこだわり、神楽、能、歌舞伎などの伝統芸能や土着性への回帰、中心と周辺の視座による西欧近代の超克など様々な切り口で語られるため、簡便に語るのは困難である。 舞踊界に与えた影響としては、ダンスの定義を拡大しダンスを単なる「動きの芸術」ではなく「肉体の質感の提示」とし、カウントによる振り付けではなく、言葉とイマジネーションによって動きを引き出す(舞踏譜)など、斬新な方法論を開発した点が上げられる。たとえば「自分の胎内でカレイが泳いでいる」「もしあなたの頭が十倍の大きさだったら」などといった、禅問答的ともいえる言葉を手がかりに自分なりの方法論で踊りを立ち上げるのが舞踏の作舞法である。当然、バレエや体操競技のような既成の方法論やテクニックは有効ではないから、手探りの状態で動きをつくっていくことになる(ただし土方が作舞した作品に関しては、言葉に対応する動きが蓄積されており、「舞踏譜」と共にレパートリー化されている)。 言葉だけではなく絵画やオブジェなどから着想を得た作品もある。土方は特にフランシス・ベーコンとアンリ・ミショーの絵画から着想を得ることを好んだという。 その核心部分の一部は、現在のコンテンポラリーダンスに引き継がれている。 「舞踏とは命がけで突っ立つ死体」(土方巽) 「ただ身体を使おうというわけにはいかないんですよ。身体には身体の命があるでしょ。心だって持っている」(土方巽)
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