日経225先物取引
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日経225先物取引(にっけい225さきものとりひき、英: Nikkei 225 Futures)とは、日経平均株価を原資産とする株価指数先物取引であり、大阪取引所等に上場されている。TOPIX先物取引、日経225オプション取引と並んで、日本を代表する株価指数を原資産とするデリバティブ取引である。日経平均先物取引(にっけいへいきんさきものとりひき)、もしくは単に日経225先物、日経平均先物ともいう。この項では、日経平均先物に先立って取引された株式先物50(通称「株先50」)についても触れる。
概要
あらかじめ定められた期日(満期日)に特定の資産(原資産。ここでは日経平均株価。)を、あらかじめ決められた価格で売買する契約である。原資産が日経平均株価(株価指数)という実体のないものであるため、決済はすべて差金決済となる。
先物の「買い方」(=取引を買いで開始した人)は、満期日の原資産(厳密には「SQ値」、後述)が約定(やくじょう)価格を上回れば利益を得、下回れば損失となる。一方、先物の「売り方」(=取引を売りで開始した人)は、逆に、満期日の原資産が約定価格を下回れば利益を得、上回れば損失となる。また、満期日まで待たなくとも相場の変動に応じて反対売買(買い方の場合は転売、売り方の場合は買戻し)すれば、いつでも損益を確定することができる。
歴史
※いずれも旧大阪証券取引所→現大阪取引所
- 1986年9月3日 - シンガポール国際金融取引所にて日経225先物の取引開始。
- 1987年6月9日 - 大阪証券取引所にて株先50の取引開始(株価指数先物としては国内初、戦時中までは、現物株の長期清算取引「現行制度でいう先物取引」も取引されていた)。 ※1992年に休止。
- 1988年9月3日 - 大阪証券取引所にて日経225先物の取引開始。
- (参考)1989年6月12日 - 大阪証券取引所にて日経225オプションの取引開始。
- 1990年9月25日 - シカゴ・マーカンタイル取引所にて米ドル建ての日経225先物の取引開始。
- 2004年2月23日 - シカゴ・マーカンタイル取引所にて円建ての日経225先物の取引開始。
- 2006年7月18日 - 大阪証券取引所にて日経225miniの取引開始。
- 2007年9月18日 - 夕場(イブニング・セッション)の取引開始し、16:30 - 19:00の取引が可能となった。
- 2008年10月14日 - 夕場の取引終了時刻が、19:00から20:00までの取引が可能となった。
- 2010年7月21日 - 夕場の取引終了時刻が、20:00から23:30までの取引が可能となった。
- 2011年2月14日 - 新デリバティブ売買システム(J-GATE)導入。それに伴い、取引ルールが以下のように変更される。
- 昼休みの間もフルに取引され、日中取引9:00~15:15、夕場取引16:00~23:30の取引に変更。
- 15:10 - 15:15 と 23:25 - 23:30は、プレ・クロージングの板合わせ取引時間となり、約定は、取引終了時間に1本値で価格が決定される。
- 日経225miniの限月が、1か月毎になりオプション取引のヘッジ手段としては利便性が向上する。
- 取引ルール及び、システムの大幅変更しすぎた為、複数の証券会社でシステム障害を起こす。
- 2011年7月19日 - 夜間立会(ナイト・セッション)の取引開始。03:00までの取引が可能となった(02:55 - 03:00は、プレ・クロージングの板合わせ取引で、約定は03:00の1本値)。
- 2013年7月16日 - 大阪証券取引所から日本証券クリアリング機構(JSCC)に清算機能を移す。
- 2014年3月24日 - 大阪証券取引所は社名を大阪取引所に変更。
上場取引所
- 大阪取引所(大証)
- 日本標準時の 8:45 - 15:15 と 16:30 - 翌日5:30に取引される。取引量は一日20万枚程度(2017年現在、ラージとミニの合計)[1]で、流動性は高い。ラージとミニが上場されており、取引単位はラージが呼値の刻みが10円、指数の1000倍、ミニが呼値の刻みが5円、指数の100倍。
- シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)
- 東部標準時の 18:00 - 翌日17:00(日本標準時 8:00 - 翌日7:00、ただし米国のサマータイム実施期間東部夏時間は1時間前倒し)に取引される[2]。大阪取引所の寄付はこのCMEの清算値(1日の取引終了時の未決済玉「建玉」についてのクリアリングハウスと清算参加者との差金の受渡「精算」のための基準値段。帳入値段。)に近い値になることが多い。円建て(NIY)とドル建て(NKD)が上場されている。円建ては、呼値の刻みが5円、取引単位は指数の500倍で大証のラージの半分。流動性は大阪取引所の次に比較的高い。
- シンガポール証券取引所(SGX)
- 1986年9月3日より日経225先物を扱っている。シンガポール標準時の 7:30 - 14:30(日本標準時 8:30 - 15:30)と 14:55 - 翌日5:15(日本標準時 15:55 - 翌日6:15)に取引されている[3]。呼値の刻みが5円、取引単位は指数の500倍で大証のラージの半分である。夕場取引は大阪取引所よりも早く導入された。大阪取引所のナイト・セッション導入などにより、近年流動性は低下基調である。
先物と類似した物として、東京金融取引所のくりっく株365で、日経平均の市場CFDが扱われている。大阪取引所のラージは3ヶ月ごとに最終決済期限が来るが、くりっく株365は1年ごとである[4]。取引時間は日本標準時 8:30 - 翌日6:00(米国のサマータイム実施期間は翌日5:00)[5]。呼値の刻みが1円(2021年1月の売り気配値と買い気配値のスプレッドは平均9.6円[6])、取引単位は指数の100倍で大阪取引所のミニと同じ[7]。先物は無リスク金利と配当込みの価格であるが、くりっく株365は取引所が金利相当額と配当相当額を決め、支払いもしくは受け取る。


大阪取引所
立会時間
日中取引
- 1987年 6月 9日 : 9:00 - 11:00(前場) 12:30 - 15:10(後場)
- 2011年 2月14日 : 9:00 - 15:15(J-GATEシステム導入で昼休みも通しの取引が可能になり、日中取引に名称変更) 先物を現物株式のヘッジとして利用するための便宜から、株式市場終了後15分間だけ先物の取引が継続するようになっている。
- 2016年7月19日 : 8:45 - 15:15
夜間立会(ナイト・セッション)
夜間 : 16:30 - 05:30。05:25からはプレ・クロージングで板寄せ後05:30終了。
- 2007年 9月18日 : 16:30 - 19:00。夕場立会〈イブニング・セッション〉として、終了時間を19:00から延長。
- 2008年10月14日 : 16:30 - 20:00
- 2010年 7月20日 : 16:30 - 23:30
- 2011年 7月19日 : 16:30 - 03:00。夜間立会〈ナイト・セッション〉に改称。
- 2016年 7月19日 : 16:30 - 05:30。システム大幅変更の為、2016年7月15日取引のナイトセッションは中止。
2007年9月18日より導入されていた夕場立会(イブニング・セッション)の取引時間の大幅延長を踏まえ、2011年7月19日より、株価指数先物およびオプションに、夜間立会(ナイト・セッション)が導入された。
夜間取引は、2009年末より、大発会・大納会の日においても行われる。それまでは、午前中取引のみだった。
取引日
前営業日の16:30(ナイト・セッション開始)から営業日当日の日中取引が終了し、清算処理が終了するまで(概ね16:00前後)が一取引日。営業日当日のナイト・セッションは、取引日では翌日扱いとなることに注意。
ナイト・セッション取引の取引日は、当日扱いではなく、翌営業日扱いとなる。日中取引終了の時点で従来通り清算処理が行われ、営業日が変わってナイト・セッションに入ることになるので、取引日ベースでの一日の流れは、
- 前営業日のナイト・セッション → 当営業日の日中取引 → 清算
となる。
各限月の最終の取引は、SQ日の前営業日の日中取引となる。ただし、新たな限月の取引開始は、(SQ日前日のナイト・セッションからではなく)新規設定となるSQ日の日中取引からとなる。
取引単位
日経225オプション取引と同じく指数の1,000倍単位。この最小取引単位を「1枚」という。日経225mini先物取引では100倍単位となる。
株価指数が10,000円の場合、1枚は指数の1,000倍の1,000万円分に相当する。但し、取引に際して1枚あたりこれだけの現金を用意する必要はなく、後述する証拠金(通常は数十万円)があればよい。
指数の10円の値動きは、現実にはその1,000倍の1万円の値動きとなり、建玉があれば実際にそれだけの含み益・含み損が発生する。
呼値の単位
呼値(よびね)の単位は日経225先物(ラージ)は10円で、日経225miniおよび海外市場では5円となっている。大証は2009年12月15日に、2010年6月14日より日経225先物(ラージ)の呼値の単位を10円から5円に変更する案を提案したが、大口投資家が裁定取引の利益減少により流動性の低下につながると反対したため、案は却下された[8]。
証拠金
証拠金による差金決済のため、取引するにあたり、最低証拠金×取引枚数以上の金額を証券会社に入金する必要がある。
大阪取引所では、2000年10月30日よりシカゴ・マーカンタイル取引所の開発した SPAN (Standard Portfolio Analysis of Risk)という証拠金計算方法[9]を採用している。SPAN のプライス・スキャンレンジは日本証券クリアリング機構から毎週(相場急変時は毎日)発表される[10]。証券会社では、日本証券クリアリング機構の発表した SPAN に基づき、場合によっては一定の倍率をかけて必要証拠金を増やしている。
日本証券クリアリング機構の SPAN のプライス・スキャンレンジの計算方法は、ボラティリティ・インデックス方式、調整ボラティリティ・インデックス方式、ヒストリカル・シミュレーション方式の3種類があるが、現在は日経225先物に関しては、ボラティリティ・インデックス方式を採用していて、日経平均ボラティリティー・インデックスに基づいて決めている[9]。例えば、終値が 14411.86 で、日経平均ボラティリティー・インデックスが 26.30 の場合は、
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