日本海溝と造構性侵食作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:07 UTC 版)
「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」の記事における「日本海溝と造構性侵食作用」の解説
東北地方の陸地は東西圧縮による隆起が確認されているが、東北地方の太平洋沖合いの地質調査では違った地殻変動が確認されている。東北地方の太平洋沖約1500-3000メートルの海底から、陸や陸近くの浅海で堆積したと考えられる礫岩が見つかったことなどから、東北地方太平洋沖地震の震源域は約3000万年前には陸地であったことが明らかとなった。またこの海底から検出された底棲有孔虫を調べてみると、年代が新しくなるにつれて水深が深くなっていったことが判明した。つまり東北地方太平洋沖の深海は約3000万年前には陸地であったが、継続的な沈降によって現在のような深海になったと考えられる。 この東北地方太平洋沖の深海で見られる沈降活動の原因は、日本海溝から沈み込む太平洋プレートによって東北地方が乗る陸側のプレートが削られる、造構性浸食作用が起こっているからであると考えられている。陸側のプレートは現在でも沈み行く太平洋プレートによって削られ続けており、沈降が続いていることを示す多くの正断層が確認されている。造構性浸食作用が日本海溝で起きていることから、日本海溝で超巨大地震が発生する可能性を想定されなかったことを批判する意見もある。沈み行く海のプレートが上盤の陸のプレートを削っていく造構性浸食作用が起こる理由を考えると、海のプレートと陸のプレートとの間の摩擦が大きい可能性が指摘できる。つまり日本海溝ではプレートの沈み込む場所の摩擦が極めて大きいことが想定され、プレート間が強く固着していることが推察できることによる。
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