日本承継銀行とは? わかりやすく解説

承継銀行

(日本承継銀行 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/12 07:33 UTC 版)

承継銀行(しょうけいぎんこう)とは、合併清算等に伴い金融機関の業務を受け継ぐ受け皿銀行のことを指す。特に、預金保険法等においては、破綻した金融機関の業務を一時的に受け継ぐために設立される銀行のことを指す。

概要

預金保険法第91条により、破綻した金融機関に対して法で定められた期間内に受け皿金融機関が現れない時、その破綻金融機関の取引先の連鎖破綻等の金融秩序の崩壊を防止するため、受け皿となり業務を一時的に引き継ぐ事を目的とした公的受け皿銀行(ブリッジバンク)を、預金保険機構が全額出資する子会社として設立することが認められた。金融再生法第27条により、2001年3月までの時限措置として導入されたが、2000年の預金保険法改正で恒久立法化された。

預金保険機構の子会社という位置付けではあるが、銀行免許を取得後、銀行法上の銀行として扱われる。取引関係等は維持、融資や預金等の業務も行われ、不良債権を除いた債権が引き継がれる。

設立後、原則2年、最大3年に限り存続が認められる。最終的な受け皿金融機関(再承継銀行)に事業を承継した後、承継銀行は清算される。最終的な受け皿金融機関が存在しない場合は、承継銀行は解散する。

これまで、後述する株式会社日本承継銀行株式会社第二日本承継銀行が実際に設立されている。2012年の預金保険法改正により、整理回収機構に承継銀行業務を行う機能が追加された。

実際に設立された承継銀行

日本承継銀行

株式会社日本承継銀行
The Bridge Bank of Japan, Ltd.
本社所在地の新有楽町ビルヂング(預金保険機構東京事務所)
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本
100-0006
東京都千代田区有楽町一丁目12番1号
設立 2002年3月11日
金融機関コード 0097
SWIFTコード 不明
事業内容 銀行業及び担保附社債信託業
代表者 代表取締役社長 田中紘一
資本金 20億5千万円
従業員数 17名(開業時)
主要株主 預金保険機構 100%
特記事項:免許取得日は2002年3月19日
2014年9月3日清算結了。
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株式会社日本承継銀行は、2002年3月11日に設立、同年3月19日に銀行業及び担保附社債信託業の免許を受けた承継銀行である[1]

破綻した石川銀行(2001年12月28日経営破綻)および中部銀行(2002年3月8日経営破綻)の受け皿として、2002年3月28日に両行との営業譲受契約を締結し、最終的な引受先に譲渡されるまでの一瞬の受け皿となった[2]。これらはいずれも、預金保険法上の特別資金援助(いわゆるペイオフ凍結)の時限措置を受けるための手続であり、実際の業務は再承継先との基本合意契約と譲渡契約以外ほとんど行われていない[3]

最終的には、石川銀行の事業を、2003年3月24日付で譲受し、同日付で北陸銀行北國銀行富山第一銀行金沢信用金庫・能登信用金庫(現・のと共栄信用金庫)の5行に[4]、中部銀行の事業を、2003年3月3日付で譲受し、同日付で清水銀行静岡中央銀行東京スター銀行の3行にそれぞれ譲渡され、当行は役目を終えた[5]

この処理が終了した後、預金保険法により2004年3月に当行は解散し清算法人となり、2014年9月3日に臨時株主総会において決算報告書が承認されたことで、清算結了・法人格消滅となった[6]

第二日本承継銀行

日本承継銀行が清算となったため、これに代わるセーフティネットとして、金融機関の処理を円滑に進めるため、2004年3月1日に、預金保険法第92条に基づき、預金保険機構により株式会社第二日本承継銀行が設立された。これは、最初に引き受ける破綻金融機関が破綻してから、2年に限って存続が認められる(1年の延長が可能)。

2010年9月10日に日本振興銀行が破綻したことを受け、日本振興銀行との間で事業譲渡の基本合意書を締結。事業譲渡の実行までに他の引き受け先が無く、2011年4月25日に同行から事業譲渡を受けた[7]。よって2012年9月10日までが存続期間となっていた。その後、2011年12月26日にイオン銀行に売却されイオンコミュニティ銀行に改称し、翌2012年3月31日付でイオン銀行に吸収合併された。

出典・脚注

  1. ^ 銀行業の免許等について 金融庁・平成14年3月19日報道発表
  2. ^ 株式会社日本承継銀行が株式会社石川銀行及び株式会社中部銀行の営業の譲受け等を行うべき旨の決定について 金融庁・平成14年3月28日報道発表
  3. ^ 金融破綻処理の手続法的考察 : わが国の実務および米国法の視点から 46-48ページ
  4. ^ 営業譲受けに係る資金援助(中部銀行)
  5. ^ 金融機関の破綻処理”. 預金保険機構. 2012年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月14日閲覧。
  6. ^ 株式会社日本承継銀行の清算結了について”. 預金保険機構 (2014年9月5日). 2017年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月14日閲覧。
  7. ^ 日本振興銀行関連 預金保険機構

外部リンク


日本承継銀行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 13:27 UTC 版)

承継銀行」の記事における「日本承継銀行」の解説

株式会社日本承継銀行は、2002年3月11日設立され同年3月19日銀行業及び担保社債信託業免許受けた承継銀行である。 破綻した石川銀行2001年12月28日経営破綻)および中部銀行2002年3月8日経営破綻)の受け皿銀行として、2002年3月28日に両行から営業譲受契約締結し最終的な引受先に譲渡されるまでの一瞬受け皿となった。これらはいずれも、預金保険法上の特別資金援助いわゆるペイオフ凍結)の時限措置を受けるための手続きであり、実際業務は再承継先との基本合意契約譲渡契約以外ほとんど行われていない。 最終的には、石川銀行事業は、2003年3月24日営業譲渡が行われると同日付で北陸銀行北國銀行富山第一銀行金沢信用金庫能登信用金庫(現:のと共栄信用金庫)の5行に、中部銀行事業は、2003年3月3日営業譲渡が行われると同日付で清水銀行静岡中央銀行東京スター銀行の3行に、それぞれ譲渡され、日本承継銀行は役目終えた。 この処理が終了した後、預金保険法により2004年3月に日本承継銀行は解散し清算法人となり、2014年9月3日付で清算結了法人格消滅した

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