新潟県警鑑定と船尾鑑定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:44 UTC 版)
裁判で最大の争点となった右後輪外側面の付着物に対しては、検察側が新潟県警鑑識課による鑑定結果も提出した。その鑑定書は本文3ページで検査経過の記載もない簡素なものであったが、それによると右後輪のシミ (1) は人血であり、なおかつ血液型も被害者のものであるO型と一致する、とされている(下表参照)。これに対して弁護側は付着物の再鑑定を行うよう裁判所へ求め、これを容れた裁判所は、北里大学医学部法医学教室教授の船尾忠孝を付着物の再鑑定人として選任した。そして、1978年10月9日付で新潟地裁へ提出した鑑定書で船尾は、右後輪のシミは人血ではない、と結論した(下表参照)。 また、新潟県警によってO型の人肉片とされていた右前輪周辺からの皮膚片様の物 (3) についても、船尾は人肉ではないと鑑定し、食い違いを見せた(下表参照)。これについても弁護側は、両者が鑑定した試料は同一物であるはずにもかかわらず、新潟県警の鑑定書に添付された試料写真と船尾鑑定書に添付されたそれの間に量の違いがなく、新潟県警が試料を消費した形跡がない、と疑念を唱えた。新潟県警側はこれについて、鑑定に使用した試料が実際には添付写真のものではなかったことを公判で認めている。 一方で、シミの中に塗り込められていた毛髪様の物 (2)、そして右前輪周辺からの毛髪様の物 (4) については、新潟県警と船尾の双方が人毛であると鑑定した(下表参照)。しかし、右後輪からの毛髪様の物について弁護側は、新潟県警による鑑定の時点では2本であった試料の数が、船尾鑑定の時点では4本へと増えていることについて疑念を唱えている(ただし、弁護側は自陣営が追い込まれたかのような印象を与えかねない試料の捏造説については、これを主張しなかった)。
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