斎醮儀礼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 02:32 UTC 版)
斎と醮はもともとは別系統の儀礼であったが、のちに一連の儀式として行われるようになった。斎醮は、死者を救済する死者儀礼と、人々の生活における危険を排除し平安を祈る祈安儀礼の二つの系統がある。 死者救済儀礼として成功したのが黄籙斎である。これは斎主の依頼によって道士が行う儀礼である。道士は本来は修行によって自らが仙人となることを目指す修行者であるが、そうした道士が他者である斎主の依頼によって、罪の懺悔を主とする儀礼を行い、その功徳を使者に振り向ける。道士にとってはこれが他者のためのための利他行であり、こうした儀式を行うことそのものが一種の修行となる。また、これとは別に在家信者の間では『度人経』の読誦による死者儀礼も行われていたと考えられる。『度人経』は霊宝経の代表であり、世界の普遍的な救済を説き、この経を読誦すれば仙人になれる、またた人の寿命を延ばし人を災厄から救うとされた。 一方、生者の救済のために行われるのが祈安儀礼であり、金籙斎がその代表である。祈安の対象はさまざまで、災厄を起こす星を占いで特定してその送星に対する儀式を行う例や、一種の地鎮祭を行う例、生前に予め黄籙斎を行い一定の符を与えておく儀式、疾病に対して神に謝罪する儀式などがある。こうした儀式においては、灯儀(神灯を関祝する儀式)と醮儀(酒を神に献上する儀式)が多く見られる。
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