数学的「証明」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:59 UTC 版)
「利潤率の傾向的低下の法則」の記事における「数学的「証明」」の解説
論争は戦後にも続き、富塚良三(1954)やロスドルスキー(1956)は、議論を「資本の有機的構成と剰余価値率のうち,どちらがより急速に上昇していくか」に集約し、「剰余価値率がどれだけ上昇してもけっして越えることのできない上限が存在し,この上限そのものが資本の有機的構成の高度化によって低落する」ことが主張された。その証明は、次のようなものであった。 具体的に、不変資本をC 、可変資本をV 、剰余価値をM 、利潤率をr とおくと、 r = M C + V = ( M / V ) ( C / V ) + 1 {\displaystyle r={\frac {M}{C+V}}={\frac {(M/V)}{(C/V)+1}}} という関係が成り立ち、資本の有機的構成C /V が高度化すると、剰余価値率M /V が一定である限り、利潤率r は低下することがわかる。 ポール・スウィージー(1942)やジョーン・ロビンソン(1942)などは、労働生産力の向上は、有機的構成C /V の増加とともに剰余価値率M /V も上昇させるため、利潤率r は低下するとは限らないし、上昇するとも限らないという不定説を展開した。これに対しては次のような説明がされた。 労働生産力の向上は、生きた労働V + M が死んだ労働(対象化された労働)C に対して減少するのであるから、 r = M C + V < V + M C + V < V + M C {\displaystyle r={\frac {M}{C+V}}<{\frac {V+M}{C+V}}<{\frac {V+M}{C}}} という関係をもたらす。これは、賃金が 0 のときの利潤率、つまり利潤率の上限(V + M )/C が減少傾向を示すということであり、短期的には利潤率が上昇しても、長期的にはやはり低下する。
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