摂食障害の研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 18:15 UTC 版)
極端な痩せ症に関する報告は古くからなされてきた。1689年、ロンドンの開業医、リチャード・モートン(Richard Morton)は、「神経性消耗病」と名付けた痩せ症少女について報告した。1873年、同じくロンドンの内科医、ウィリアム・ガル(William Gull)は、痩せ症を「神経性無食欲症と名付けて報告した。同年、パリ大学教授のシャルル・ラセーグ(Charles Lasègue)は、「ヒステリー性無食欲症」と名付けた痩せ症患者の精緻な症状を記載している。1914年のドイツのシモンズからの報告で、神経性無食欲症は下垂体の障害に由来するという器質説が広まったが、1939年にイギリスのシーハンによる広範な解剖の報告で否定された。そうした器質論的な研究を経て、心理学的研究が開始されるのは1940年代のブルッフによる発表まで待たなければならなかった。摂食障害の心理学的研究と治療に本格的に取り組んだのはブルッフがはじまりであり、摂食障害の医学史は彼女からはじまったといわれる。 小児肥満の研究から摂食障害の心理学的治療へと至ったブルッフの研究は、内科学と精神医学に多大な影響を与えた。ブルッフの業績に対しては数多くの賞が贈られており、アメリカ医師会のジョセフ・B・ゴールドバーガー賞を精神科医としてはじめて受賞した。母校のフライブルク大学からは、非常に稀なゴールデン・ドクター(M.D.)の特別学位を贈られている。摂食障害の病理を見つめ、専門家だけでなく一般にも広くその知識を伝え続けてきたブルッフの著書は色褪せることなく、今なお読み継がれている。
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