探触子の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 03:39 UTC 版)
開発当初のエコー検査では、音波を一方向のみに発射するだけのものであったが、その後改良され、扇状に音波を発生することで、対象物の断面画像がリアルタイムに見られるようになっている。 Linear型(リニア型) 体表へ接触させる超音波のビームを発射する部分は平面である。ここから、その平面に対して垂直方向のビームを、何本も発生させる。つまり、超音波ビームの発射点を、平面上において隈なく移動させる方法で走査している。よって、全ての超音波ビームは平行である。したがって、特にSector型と比べると、体表に近い部分では広範囲に超音波ビームを当てられる。このため、主に体表に近い部分に位置する組織の検査に用いられ、例えば、体表近くの血管や筋肉、乳腺や甲状腺などを見るのに向く。 Sector型(セクタ型) 体表へ接触させる超音波のビームを発射する部分は、Linear型などと比べて狭く小さい。この接触部分の1点から超音波ビームを発射する。そして、超音波ビームは角度を変えて次々と放射される。つまり、超音波ビームを発射する角度を変える方法で走査している。よって、いずれの超音波ビームも平行ではない。したがって、体表に近い部分は狭い範囲にしか超音波ビームを当てられないのに対し、体表から遠い部分では広い範囲に超音波ビームを当てられる。また、Linear型とは違って、Sector型ならば超音波ビームが入ってゆく場所は狭くても問題がない。超音波は骨に当たると、そこで反射して体表に戻ってきてしまうものの、Sector型なら、肋骨の間から、その向こう側へと超音波ビームを放射することも容易である。このため、例えば肋骨で囲まれた胸腔内の臓器を標的とした超音波検査、例えば心臓超音波検査などに用いられる。なお、産婦人科で用いられる経膣超音波検査(英語版)も、超音波ビームの発射部分、つまり、探触子はSector型のように小さくする必要が出てくる。 Convex型(コンベックス型) 体表へ接触させる超音波のビームを発射する部分は、緩やかな凸面である。このため、Linear型と比べて、凹凸のある体表にも密着させやすい。しかも、接触面がさほど広くなくとも、体表から離れるにつれて超音波ビームが広がってゆくので、体表から遠い部分では広い範囲に超音波ビームを当てられる。このため、主に体表からの腹部超音波検査に用いられる。
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