抗微生物ペプチドの選択性を決める要素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 01:09 UTC 版)
「抗微生物ペプチド」の記事における「抗微生物ペプチドの選択性を決める要素」の解説
抗微生物ペプチドの選択性という性質に密接に関わる要素はいくつかあるが、最も大きな影響を持つのは陽イオン性の性質である。細菌の細胞膜の表面は哺乳類の細胞より負に荷電しているので、抗微生物ペプチドは細菌の細胞と哺乳類の細胞に対して異なった親和性を示すだろう。 それに加え、他の要素も選択性に影響する。 コレステロールは膜の安定化剤として哺乳類の細胞に通常広く分布しているが、細菌の細胞膜に存在しないことはよく知られている。そしてこのコレステロールの存在が、脂質二重膜を安定化させるためか抗微生物ペプチドと相互作用することにより、一般的にこのペプチドの活性を減少させるだろう。それで、哺乳類の細胞のコレステロールは抗微生物ペプチドの攻撃から細胞を守るだろう。 他にも、膜電位はペプチドと脂質の相互作用に影響することがよく知られている。細胞膜の外側から内側へ内部が負の膜電位が存在し、この内部が負の膜電位は、おそらく正に荷電したペプチドを膜に挿入しやすくすることで膜の透過性を増加するだろう。細菌の細胞の膜電位は正常な哺乳類の細胞の膜電位より、比較的負に偏っているので、正に荷電した抗微生物ペプチドに攻撃を受けやすいだろう。 同様に、増加するイオン強度 もまた一般的にはほとんどの抗微生物ペプチドの活性を減少させるが、初めの相互作用に必要な静電的相互作用を弱めることで抗微生物ペプチドの選択性に部分的には貢献していると思われている。
※この「抗微生物ペプチドの選択性を決める要素」の解説は、「抗微生物ペプチド」の解説の一部です。
「抗微生物ペプチドの選択性を決める要素」を含む「抗微生物ペプチド」の記事については、「抗微生物ペプチド」の概要を参照ください。
- 抗微生物ペプチドの選択性を決める要素のページへのリンク