成尋阿闍梨母集とは? わかりやすく解説

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じょうじんあじゃりのははのしゅう〔ジヤウジンアジヤリのははのシフ〕【成尋阿闍梨母集】

読み方:じょうじんあじゃりのははのしゅう

平安後期日記兼ねた家集2巻成尋の母の作。延久5年(1073)ごろ成立成尋入宋であとに残った老母が、子に別れた悲しみ書きつづったもの。


成尋阿闍梨母集

読み方:ジョウジンアザリノハハノシュウ(joujin’azarinohahanoshuu), ジョウジンアジャリノハハシュウ(joujin’ajarinohahashuu)

分野 和歌集

年代 平安中期

作者 成尋阿闍梨母


成尋阿闍梨母集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/19 14:12 UTC 版)

成尋阿闍梨母集』(じょうじんあじゃりははのしゅう)は、平安時代後期の日記文学的家集である。

概要

仏道修行のために延久4(1072)年に渡宋した成尋阿闍梨(『参天台五台山記』の著者)に対する老母の思いを、歌日記風に書き綴った平安時代後期の自撰私家集であり、日記文学としても国文学史上にも注目されている[1]

上下二巻からなり、上巻は治暦2(1067)年から延久3(1071)年を、下巻は同年4月から延久5(1073)年5月までの記事を含み、前後7年にわたる日記的な記述で構成される。執筆は80歳という高齢で成尋が渡宋するという「世に類なきこと」に直面した際に思い立ち、成尋が帰朝した際に、自分が亡くなっていても、これほどの思いを抱いていたことを知ってほしいという切実な願いが動機となり、成尋が京を離れた延久3(1071)年の秋ごろに始まり、別離後の心情を日記的に書き継いでいったと考えられている。延久5年5月の記事が最後で、その直後に作者は病により執筆を中止し、子の帰りを待たずに86歳で没したと推測される[2][3]

ただし、佐佐木信綱が昭和初期の1930年に、本作品の存在を紹介したときは「成尋阿闍梨母日記」と呼称した。それは、和歌を2字下げで筆記する書写形態をとっていて、いわゆる家集の形態と異なっていることにもよるといわれる[4]

大阪青山学園本

兵庫県川西市大阪青山歴史文学博物館が所有し、鎌倉時代前期の写本で、藤原定家の手沢本である。体裁は綴葉装で白地立菱つなぎ刷模様の斐紙を表紙とし、その中央には定家様にて「成尋阿闍梨母集」の外題墨書がある[1]。本文の料紙は斐楮交漉紙で、一部に墨流紙を用いている。本文は半葉10~14行、歌は一首2行書で本文より1字下げに書かれ、所収歌数は175首である。文中にはまま訂正加筆があり、その一部および二箇所にある集付はその筆跡から藤原定家の筆と認められ、本帖が定家の所持本であったことを明らかにしている[1]

『成尋阿闍梨母集』の写本は、他には本帖を江戸時代前期に書写した一本が知られるのみで、本帖は古写唯一本であり、国文学研究上に貴重である[1]

1985年6月6日、国の重要文化財に指定された。

ただし講談社学術文庫版の解説によれば、藤原定家手沢の冷泉家蔵本と、その転写本とみられる宮内庁書陵部蔵本との二つが知られていると述べられ、この「大阪青山歴史文学博物館」の所蔵する本が、どういう経路で現在の所蔵に至ったかはっきりしない。

注解文献

外国語訳

2023年11月、ペルー日系人協会出版基金より、Hiroko Izumi ShimonoとIvan Pinto Romanによる、日本の古典から直接スペイン語に翻訳した、El diario de poetico de la madre del Reverendo Jojin(成尋阿闍梨母集。ISBN:978-612-4397-20-2)が出版された。挿絵には、狩野元信画「二尊院縁起絵巻」京都二尊院蔵(京都国立博物館蔵)などが用いられ美しい本である。

脚注

  1. ^ a b c d 文化庁
  2. ^ 永井義憲(島津草子)『成尋阿闍梨母集・参天台五台山記の研究』大蔵出版、1959年。
  3. ^ 永井義憲「成尋阿闍梨母集の成立 (PDF)」『大妻女子大学文学部紀要 巻1』大妻女子大学文学部、1969年。 
  4. ^ 講談社学術文庫の編者解説


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