感染症と寄生虫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 21:02 UTC 版)
感染症と自己免疫疾患の間には、興味深い逆相関が存在する。複数の感染症が流行している地域では、自己免疫疾患はめったに見られない。その逆は、ある程度は当てはまるようである。衛生仮説では、これらの相関関係は病原体の免疫操作戦略に起因すると考えている。このような観察結果は、偽りとか効果がないとかさまざまに言われているが、いくつかの研究によると、寄生虫感染は自己免疫疾患の活動性低下と関連している。 その機構は、寄生虫が自分自身を守るために、宿主の免疫応答を弱めていると推定されている。このことは、自己免疫疾患に苦しむ宿主に、偶然の利益をもたらす可能性がある。寄生虫による免疫調節の詳細はまだわかっていないが、抗炎症剤の分泌や宿主の免疫シグナルへの干渉が考えられる。 逆説的な観察として、ある種の微生物が自己免疫疾患と強く関連していることがあげられる。たとえば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)は強直性脊椎炎と、コクサッキーウイルスB(coxsackievirus B)は1型糖尿病と、それぞれ強く相関している。これは、感染生物がBリンパ球を多クローン性活性化するスーパー抗原を産生し、さまざまな特異性の抗体を大量に産生する傾向があり、その一部は自己反応性である可能性があると説明されている(後述)。
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