徳寧之殿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/10 08:24 UTC 版)
北岳廟の中心となっているのは、元時代の1270年に建てられた徳寧之殿である。徳寧之殿の正面側には、「月台」と呼ばれる25メートル×20メートルの大きな基壇がある。徳寧之殿自体も高さのある基壇上に建てられており、堂内へは正面の階段か、月台に設けられた2つの階段のいずれかから進むことができる。基壇には白大理石の欄干が備え付けられており、擬宝珠のかわりに獅子像が据えられている。堂の大きさは桁行7間、梁間4間となっており、庇が周囲を取り囲んでいる。宋時代に編纂された建築書『營造法式』によれば、徳寧之殿で屋根を支えるために使われているのは、垂直、水平両方向に三手先の肘木が組まれている第6斗栱方式である。第6斗栱方式は宋時代から残る最も複雑な組物である。これらの複雑な組物と大理石の欄干、基壇の高さから、シュタインハートは、徳寧之殿を現存する元代の木造建築で最も重要なもの2つのうち1つに数えている。既に失われてしまった元朝の首都、大都の建築物に関して残された記録によれば、それらの建築物は、徳寧之殿に類似した特徴を持っているため、徳寧之殿は当時を代表する建築様式を表しているものと見られる。 徳寧之殿内には、3つの壁面に道教思想を表した壁画が描かれている。西側の幅17メートル×高さ7メートルの壁画は唐代に制作されたものとされ、地元の水神と飛天が描かれている。東側にはほぼ同じ大きさの壁画があり、竜王が描かれている。堂内には堂の建造時期よりも後に制作されたものと思われる9つの像が納められている。
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