微細化と価格の高騰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 04:38 UTC 版)
半導体の微細化に伴い、フォトマスク作成の技術も高い精度が求められコストも増大している。1つの半導体チップを作るには、各層ごとのレチクルが合計で数十枚ほど求められ、2004年では、0.18umプロセスのマスクセットを製造するのに約3,200万円、0.13umで約8,000万円、90nmで1億8,000万円にもなると云われていた[1]。2008年現在の1セットのレチクル価格は65nm世代で約1億円とされ、世代交代されつつある45nm世代で約2億円、32nm世代で約4億円に増大するとされる。1990年代の0.5umのマスクセットで数百万円オーダーだったのに比べ、指数関数的に増大している。 試作時のフォトマスクのコスト増を回避するために、1セットのマスクセットに、複数の試作チップを載せてコストを分担する。1ショットに複数の異なるチップが転写されるため、周期的な模様からピザマスクと呼ばれる。複数のプロジェクトで乗り合いの形になるため、期日が限定されているシャトルウエハという形態をとるが、プロセス調整の自由は失われる。 1990年代後半から一般化した、干渉を利用したフォトマスク上の工夫によって露光波長より微細な回路配線を作り込む技術では、フォトマスクの検査に今では1台35-40億円もの検査装置が必要となり、この検査だけでフォトマスクのコストの40%近くも占めるようになっている。 今後の22nm世代では、波長を13.5nmの極端紫外線(extreme UV, EUV)で露光する技術や、フォトマスクを使用せず、1万本以上の多数の電子ビームを並列的にウエハ上に照射して回路パターンを描画する技術などの使用が研究されており、半導体の製造装置メーカーであるクレステックと、東北大学の江刺正喜教授の開発チームが、2014年までの製品化を目指している。
※この「微細化と価格の高騰」の解説は、「フォトマスク」の解説の一部です。
「微細化と価格の高騰」を含む「フォトマスク」の記事については、「フォトマスク」の概要を参照ください。
- 微細化と価格の高騰のページへのリンク