幹の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/01 09:16 UTC 版)
シダ綱の植物の茎では中心に師部に包まれた木部をもつ原生中心柱、髄を囲む環状の木部の内外を師部が包む環状中心柱、あるいは環状の維管束から葉への維管束が分枝してあちこちに穴(葉跡)が開く網状中心柱を持つ。木生シダは多くの葉が短い間隔で生じるものが多いため、網状中心柱となるものが多い。また、匍匐する茎を持つシダ類ではこの葉跡が上面に集中し、そのために茎に腹背の分化が起きるが、直立する木生シダではそれが無く、放射相称になる。 現生の木生シダでは成長するに連れて茎そのものも太くなるが、これは肥大成長によるものではなく、茎の先端の成長組織そのものを巨大化し、最初から太い茎を形成することによって実現されている。したがって、茎そのものだけを見ると、木生シダの茎は根元が細く、先端に向かって太くなる逆円錐形である。これではその身体を支えられないのであるが、それを補っているのが根である。この類では茎から不定根が多量に出て、これが茎の表面を覆い、地上に達することで外見的には根元の方が太い形を作り、幹を支えている。したがって、この部分で断面を作ると、中心に細い茎があり、その外側には細い根の断面がぎっしりと集まった層がそれを取り巻いている。ただし、茎そのものの中にも厚壁組織がよく発達して機械的強度を与えている。 なお、ヘゴの場合、この幹を覆う根の先端は空中で裸出しており、これは湿潤な森林環境で空中湿度を利用する役割を担う。このため、栽培下で空中湿度が不足する条件にした場合、根元に水を与えても効果が無く、根元回りを水苔で覆うなど、根の層に水を与えるようにする必要がある。これは木生シダ一般に通じるものではなく、ヒカゲヘゴ C. lepifera は日向にも生育し、校庭などでも育つ。
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