平野区母娘殺害事件
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平野区母娘殺害事件 | |
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場所 |
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標的 |
母親(当時61歳) 女性(当時27歳) |
日付 | 2011年(平成23年)6月24日 (UTC+9) |
概要 | 女性の同僚だった男がマンションの一室に侵入し、女性と母親を刃物で刺して殺害した。 |
攻撃手段 | 刺殺 |
攻撃側人数 | 1人 |
死亡者 | 2人 |
犯人 | 女性の元同僚の男(逮捕当時35歳) |
容疑 | 殺人・住居侵入 |
動機 | 交際を巡るトラブル |
対処 | 男を大阪府警察刑事部捜査第一課と平野警察署捜査本部が逮捕・大阪地方検察庁が起訴 |
刑事訴訟 | 無期懲役(第一審判決・控訴せず確定) |
管轄 |
平野区母娘殺害事件(ひらのくおやこさつがいじけん)とは、2011年(平成23年)6月24日に大阪府大阪市平野区のマンションで発生した在日韓国人の母娘に対するストーカー殺人事件[1][2][3]。
事件の概要
2011年(平成23年)6月24日、大阪府大阪市平野区のマンションに男が押し入り、女性(当時27歳)と母親(当時61歳)を刃物でめった刺しにして殺害、そのまま逃亡した[4][5][6]。同日午後9時過ぎに女性の姉が帰宅すると、女性が台所で仰向けに、母親が和室で横向きに倒れていたのを発見、110番通報した[6]。通報を受けて駆けつけた平野警察署員が現場で2人の死亡を確認した[4]。発見時、2人には胸や腹などに多数の切り傷や刺し傷があった[6]。
韓国側の反応
2011年(平成23年)6月26日、韓国政府は在大阪韓国総領事館を通じて日本当局に対して「公正かつ迅速な捜査をしてほしい」との要請を行い、日韓両国で広く報道される事件となった[1][7]。
韓国政府は本事件の直前、日本人が被疑者である別の韓国人殺人事件で日本の司法が被疑者に死刑ではなく傷害致死罪を適用したことについて日本政府に再考するよう要求していた[7]。韓国のマスコミは再び韓国籍の者が殺害された本事件の発生を受けて「また韓国人が殺された」という報道を相次いで行った[7]。また、6月26日の未明から毎日放送は全国放送を含む複数のニュース番組で事件被害者とは別人の写真を被害者として報じる誤報事件を引き起こしていた[8][9]。誤報事件を受けて毎日放送は「報道機関としてあってはならないこと。チェック態勢を強化し、再発防止に努める」とするコメントを出した[8][9]。
捜査
大阪府警察は殺人事件と見て平野警察署に捜査本部を設置[4][10]。女性を執拗に刺していることなどから、交友関係を巡るトラブルと見て捜査を開始した[10]。
司法解剖の結果、死亡推定時刻は6月24日午前中と判明した[11]。また、女性が知人の男とトラブルになっていたことが判明した[12]。
2011年(平成23年)7月8日、大阪府警察は娘の元同僚・交際相手だった在日朝鮮人の男(当時35歳)を殺人容疑で逮捕した[13]。逮捕時、男は「女性や母親を殺していない。弁護士は必要ない」と容疑を否認していた[13]。後に「2人を殺した。申し訳ないことをした」と容疑を認めた[14]。
2011年(平成23年)7月29日、大阪地検は男を殺人罪・住居侵入罪で起訴した[14]。
加害者と被害者
男は被害者母娘の女性の元交際相手で以前に勤めていた会社の同僚だった。事件前には女性の顔面を殴打する事件を起こすなど、女性に執拗に付きまとっていた[15]。事件直前には知人にストーカーの存在を明らかにしていた[16]。また、女性の携帯電話には男から大量の嫌がらせメールが送りつけられていた[17]。その他、被害者宅の固定電話は元交際相手の男からの着信を拒否する設定がなされていた[17]。事件前日の6月23日には男が女性に接触を図ろうとしたが避けられていた[18]。
刑事裁判
第一審・大阪地裁
2012年(平成24年)5月23日、大阪地裁(遠藤邦彦裁判長)は「執拗で極めて残忍な犯行」として被告人に対して求刑通り無期懲役の判決を言い渡した[19]。
判決では、犯行態様などについて「被害者に落ち度はなく、動機は身勝手」と指摘した[19]。一方で計画性は認められず、突発的な犯行として「死刑ではなく無期懲役が相当」と結論付けた[19]。
脚注
- ^ a b 「韓国「大阪の韓国人母娘殺害事件、公正捜査を要請」」『中央日報』2011年6月27日。オリジナルの2020年8月12日時点におけるアーカイブ。2011年7月8日閲覧。
- ^ 「「別れるのに数十万かかった」「携帯電池なくなるまでメール」 次女、元交際相手の悩み漏らす」『MSN産経ニュース』2011年7月8日。オリジナルの2011年7月11日時点におけるアーカイブ。2011年7月8日閲覧。
- ^ 「次女の元交際相手の30代男を殺人容疑で逮捕へ 復縁迫り凶行?」『MSN産経ニュース』2011年7月8日。オリジナルの2011年7月9日時点におけるアーカイブ。2011年7月8日閲覧。
- ^ a b c 「大阪のマンションで女性2人遺体 府警が殺人容疑で捜査(1/2ページ)」『MSN産経ニュース』2011年6月25日。オリジナルの2011年6月29日時点におけるアーカイブ。2025年1月21日閲覧。
- ^ 「大阪のマンションで女性2人遺体 府警が殺人容疑で捜査(2/2ページ)」『MSN産経ニュース』2011年6月25日。オリジナルの2011年6月29日時点におけるアーカイブ。2025年1月21日閲覧。
- ^ a b c 「母娘遺体に刺し傷多数 恨みによる犯行か 大阪殺人捜査」『朝日新聞』2011年6月25日。オリジナルの2011年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年1月21日閲覧。
- ^ a b c 「大阪母娘殺害事件、韓国政府が日本の警察に「公正な捜査」を要請」『サーチナ』2011年6月27日。オリジナルの2011年7月2日時点におけるアーカイブ。2011年7月15日閲覧。
- ^ a b 「毎日放送が次女の顔写真間違う ニュースで訂正、謝罪」『MSN産経ニュース』2011年6月26日。オリジナルの2011年6月29日時点におけるアーカイブ。2011年7月16日閲覧。
- ^ a b 「被害者の顔写真、毎日放送が間違えて放映 母娘殺害事件」『朝日新聞』2011年6月27日。オリジナルの2011年6月28日時点におけるアーカイブ。2011年6月28日閲覧。
- ^ a b 「次女の背中に多数の傷 追いかけ執拗に襲う?」『MSN産経ニュース』2011年6月26日。オリジナルの2011年6月29日時点におけるアーカイブ。2025年1月21日閲覧。
- ^ 「「当日、ベランダに不審人物」住民目撃 平野・母娘殺害」『朝日新聞』2011年7月4日。オリジナルの2011年7月7日時点におけるアーカイブ。2011年7月16日閲覧。
- ^ 「次女の携帯電話、持ち去られた可能性 大阪母娘殺害事件」『朝日新聞』2011年6月26日。オリジナルの2011年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年1月21日閲覧。
- ^ a b 「母娘殺害:35歳容疑者逮捕 次女の元同僚 大阪府警」『毎日新聞』2011年7月8日。オリジナルの2011年7月13日時点におけるアーカイブ。2011年7月8日閲覧。
- ^ a b 「元交際相手「2人を殺した」と供述 大阪・母娘殺害容疑」『朝日新聞』2011年7月29日。オリジナルの2011年7月29日時点におけるアーカイブ。2011年7月29日閲覧。
- ^ 「事件前の次女、何度も暴行被害 大阪・母娘殺害」『朝日新聞』2011年6月26日。オリジナルの2011年6月29日時点におけるアーカイブ。2025年1月21日閲覧。
- ^ 「事件直前に次女が友人にメール 平野・母娘殺害1週間」『朝日新聞』2011年7月1日。オリジナルの2011年7月1日時点におけるアーカイブ。2011年7月16日閲覧。
- ^ a b 「次女、元交際相手の着信を拒否 固定電話に執拗にかける?」『MSN産経ニュース』2011年7月9日。オリジナルの2011年7月30日時点におけるアーカイブ。2011年7月15日閲覧。
- ^ 「容疑者の男、自転車で逃走か 当初から殺害目的?」『MSN産経ニュース』2011年7月10日。オリジナルの2011年7月12日時点におけるアーカイブ。2011年7月15日閲覧。
- ^ a b c 「元交際相手の男に無期判決 大阪母娘殺害で地裁」『日本経済新聞』2012年5月24日。オリジナルの2024年9月30日時点におけるアーカイブ。2024年9月30日閲覧。
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