平均値および標準偏差との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 00:20 UTC 版)
「二乗平均平方根」の記事における「平均値および標準偏差との関係」の解説
変量 x に対して期待値 ⟨x⟩ が定まるなら、その量の期待値からの偏差 x − ⟨x⟩ の二乗平均平方根 RMS[x − ⟨x⟩] を与えることができる。この偏差の二乗平均平方根は x の標準偏差 σx に等しい。 σ x = 1 n ∑ i = 1 n ( x i − ⟨ x ⟩ ) 2 = RMS [ x − ⟨ x ⟩ ] {\displaystyle \sigma _{x}={\sqrt {{\frac {1}{n}}\textstyle \sum \limits _{i=1}^{n}\left(x_{i}-\langle x\rangle \right)^{2}}}=\operatorname {RMS} [x-\langle x\rangle ]} また、二乗偏差 (x − ⟨x⟩)2 を展開すれば、偏差の二乗平均平方根は次のように書き直せる。 RMS [ x − ⟨ x ⟩ ] = 1 n ∑ i = 1 n ( x i − ⟨ x ⟩ ) 2 = 1 n ∑ i = 1 n x i 2 − 2 ⟨ x ⟩ 1 n ∑ i = 1 n x i + ⟨ x ⟩ 2 = ( RMS [ x ] ) 2 − ⟨ x ⟩ 2 {\displaystyle {\begin{aligned}\operatorname {RMS} [x-\langle x\rangle ]&={\sqrt {{\frac {1}{n}}\textstyle \sum \limits _{i=1}^{n}\left(x_{i}-\langle x\rangle \right)^{2}}}\\&={\sqrt {{\frac {1}{n}}\textstyle \sum \limits _{i=1}^{n}{x_{i}}^{2}-2\langle x\rangle {\dfrac {1}{n}}\sum \limits _{i=1}^{n}x_{i}+\langle x\rangle ^{2}}}\\&={\sqrt {\left(\operatorname {RMS} [x]\right)^{2}-\langle x\rangle ^{2}}}\end{aligned}}} ただし最後に期待値 ⟨x⟩ が xi の平均値 x に等しいことを使った。 ⟨ x ⟩ = x ¯ = 1 n ∑ i = 1 n x i {\displaystyle \langle x\rangle ={\bar {x}}={\frac {1}{n}}\textstyle \sum \limits _{i=1}^{n}x_{i}} このとき次の関係が成り立つ。 ( RMS [ x ] ) 2 = σ x 2 + ⟨ x ⟩ 2 {\displaystyle \left(\operatorname {RMS} [x]\right)^{2}={\sigma _{x}}^{2}+\langle x\rangle ^{2}} 期待値 ⟨x⟩ が xi の算術平均 x に等しいことは一般には成り立たない。たとえば xi を x の各回の測定値だとすれば、その標本平均 x は期待値 ⟨x⟩ からある精度で外れた値になる。実験では真の値は分からないので、期待値 ⟨x⟩ の代わりに測定値の標本平均 x が用いられ、標準偏差は測定値の平均値からの不偏分散の平方根によって推定される。不偏でない単純な標本標準偏差は二乗平均平方根の形で表されるが、不偏標本標準偏差 ux はそれとは異なる。 RMS [ x − x ¯ ] = 1 n ∑ i = 1 n ( x − x ¯ ) 2 ≠ 1 n − 1 ∑ i = 1 n ( x − x ¯ ) 2 = u x {\displaystyle \operatorname {RMS} [x-{\bar {x}}]={\sqrt {{\frac {1}{n}}\textstyle \sum \limits _{i=1}^{n}(x-{\bar {x}})^{2}}}\neq {\sqrt {{\frac {1}{n-1}}\textstyle \sum \limits _{i=1}^{n}(x-{\bar {x}})^{2}}}=u_{x}} 単純な標本標準偏差では分散の重心が期待値ではなく標本平均になっているため、これは真の値からの誤差を評価していない。 これらがほぼ等価であると言えるのは、測定精度に比べて充分多くの回数測定を行った場合だけである。
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