山津見神社での保全活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/04 05:03 UTC 版)
「サイモン・ワーン」の記事における「山津見神社での保全活動」の解説
当時の和歌山大学のサイモン・ワーンや加藤久美は、環境学や文化人類学の観点からニホンオオカミの絶滅の過程を調査していた。ワーンらはオオカミ信仰を調査するため、かつて「佐須の山の神」と全国に知られた福島県相馬郡飯舘村佐須虎捕の山津見神社を訪れた。拝殿の天井には多数の"オオカミの絵"が伝統的な大和絵の手法で描かれていた。この天井絵は、他に類例が少ない貴重なものである。オオカミの絵は、拝殿が建った1904年ごろに当時の宮司が御用絵師に描かせたと伝わるが、一枚ずつ絵柄が違い、いつ誰が描いたのか詳細が分からず、文化財には登録されずじまいだった。そして、建屋は雨漏りがするほど老朽化しており、オオカミの絵が痛む前に記録を残したいと、ワーンらは考えた。 2013年2月、ワーンはそれらのオオカミの絵を全て撮影して記録する作業をした。高さ5mの天井にあるオオカミの絵 237 枚を2日がかりで撮影し、その後、神社に提供するためにCD-ROMにまとめあげた。その後、同年4月に拝殿が火災で全焼し、オオカミの絵も全て焼失した。これを知ったワーンらは、原発事故で避難を余儀なくされた住民に希望を届ける意図で、復元を呼びかけ、そして復元に役に立つように、ワーンは2月に撮影した写真を提供した。天井絵の復元作業は東京芸術大学が担当した。
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