小腸の酵素あるいはP-糖タンパク質を介した相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/05 06:31 UTC 版)
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小腸上皮には薬物代謝酵素であるシトクロムP450 (CYP) の一種であるCYP3A4が発現している。シトクロムP450には様々な種類があるが、中でもCYP3A4は基質となる薬剤が非常に多い。ある種の薬剤あるいは食物がCYP3A4の活性を変化させることで相互作用が生じることが知られており、代表的なものとしてグレープフルーツジュースが挙げられる。グレープフルーツの中にはフラノクマリン類と呼ばれる化合物が含まれており、これが小腸上皮のCYP3A4の機能を阻害する。CYP3A4の基質としてカルシウム拮抗薬や免疫抑制剤であるシクロスポリン、ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるトリアゾラムなどが挙げられる。CYP3A4阻害によりこれらの基質薬物の血中移行量は増大し、作用の増強や副作用が生じる原因となる可能性がある。グレープフルーツジュースによるCYP3A4阻害作用は長時間にわたって示されるので、水の代わりにグレープフルーツジュースで薬を飲むような事をしなければ良いというものではなく、これらの基質薬物内服中はグレープフルーツジュースの摂取を避けなければならない。なお、グレープフルーツジュースによる代謝酵素阻害は経口投与した場合に限り発現するため、静脈内注射により直接血中に入れられた薬物に関してはこの相互作用は考えなくて良い。
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