小島憲之 (建築家)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 小島憲之 (建築家)の意味・解説 

小島憲之 (建築家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/28 04:16 UTC 版)

小島 憲之(こじま のりゆき、1857年8月4日安政4年6月15日[1] - 1918年大正7年)8月15日)は、日本の建築家、教育者。アメリカのコーネル大学建築学部を卒業、日本人で初めて建築の学士号を取得したとされる。旧制第一高等学校などで図学、英語を教え、多くの後進を育てた。東京芸術大学構内に残る赤レンガの建物(旧東京図書館書籍庫)は小島の作品である。

経歴

下野国河内郡雀宮(現・栃木県宇都宮市)生まれ、旧名・作次郎。父・小島信民は幕臣であった。

明治維新後、横浜で外国人に英語を学び、1870年(明治3年)、大学南校に入学、アメリカ人教師ハリスに認められる。1873年(明治6年)学校を中退、ハリス、箕作佳吉とともにアメリカに渡り、ハートフォード中学に入学。1875年、コーネル大学建築学部に入学。1879年に卒業し、学士号(Bachelor of Architecture)を取得した。ハートフォードの建築事務所で働いた後、ヨーロッパ、インド、中国を経て、1881年(明治14年)に帰国した[2]ロンドン滞在時に留学中の辰野金吾(1879年工部大学校卒業)と会ったという[3]

帰国後は東京大学理学部、工部大学校大学予備門第一高等学校、東京美術学校(現・東京芸術大学)で用器画、英語を教えた。英語に堪能で、神田乃武浅田栄次とともに英語教育界の三羽烏と呼ばれた[4]夏目漱石も小島の教え子の一人である。また、第一高等学校で長年用器画を担当していたため、伊東忠太長野宇平治塚本靖岡田信一郎など、小島に学んだ建築家は数多い。

1885年、湯島聖堂にあった東京図書館を上野に移すことになり、移転計画に関わった(帝国図書館の項を参照)。書籍庫(1886年竣工)はこの時に建てられ、小島の作品として唯一現存する[5]。実作の機会に恵まれる機会は少なく、建築家としては不遇であった[6]

一高教授在任中の1918年8月、日本アルプス登山の途中で急逝、享年62。

子息の小島新吾は建設省営繕局長を務めた。また、建築家西村好時の義父にあたる。

栄典

位階
勲章等

参考文献

  • 杉山英男『近代建築史の陰に』(上)(2019年、海青社) - 「小島憲之と一高」「若き日の小島憲之」の章がある。
  • 新建築臨時増刊「日本近代建築史再考」(1974.10)
  • 「第一高等学校教授小島憲之叙勲ノ件」[1](叙勲裁可書・大正七年・叙勲巻三・内国人三) - 勲二等瑞宝章に叙する際の公文書。履歴書が添付されている。
  • 『人事興信録』2版(1908年)[2]

注釈

  1. ^ 『特別叙勲類纂(死没者) 下』総理府賞勲局、1984年、p.206。
  2. ^ 高杉造酒太郎『建築人国雑記』P62(1973年)。履歴書により補足。
  3. ^ 森井健介『師と友』P68(1967年)。
  4. ^ 森井前掲書P26。
  5. ^ 関東大震災で被害を受け、岡田信一郎の設計により修復された。現在は東京芸大音楽学部の構内にある「赤レンガ2号館」。ちなみに守衛所寄りにある赤レンガ1号館は旧教育博物館書庫で、林忠恕設計、1880年竣工。
  6. ^ 村松貞次郎「不遇の建築家 小島憲之」『日本近代建築史ノート』(世界書院、1965年)所収。
  7. ^ 『官報』第4207号「叙任及辞令」1897年7月12日。
  8. ^ 『官報』第5169号「叙任及辞令」1900年9月22日。
  9. ^ 『官報』第7051号「叙任及辞令」1906年12月28日。
  10. ^ a b 『官報』第1816号「叙任及辞令」1918年8月21日。
  11. ^ 『官報』第5098号「叙任及辞令」1900年7月2日。
  12. ^ 『官報』第6902号「叙任及辞令」1906年7月3日。
  13. ^ 『官報』第8257号「叙任及辞令」1910年12月28日。

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「小島憲之 (建築家)」の関連用語

小島憲之 (建築家)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小島憲之 (建築家)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの小島憲之 (建築家) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS