小員環分子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/11 04:08 UTC 版)
曲がった結合は化学結合の特別なタイプで、混成軌道の概念を補うために用いられる。曲がった結合はシクロプロパン、オキシラン、アジリジンなどのねじれた有機化合物で見られる。 これらの化合物では、理想的なsp3混成軌道の結合角(正四面体角)である109.5°を実現できない。p軌道性を強くすると60°という結合角を実現でき、このとき炭素-水素結合ではs軌道性が強くなるので結合距離が短くなる。また、シクロプロパンでは核間の軸と混成軌道の軸とがずれているので、2つの炭素間を結んだ線からずれたところに電子密度の最大点が存在する[要出典]。これが「曲がった結合」という名の由来である。シクロプロパンでのオービタル間角度は104°である。この曲がりは適当なシクロプロパン誘導体のX線回折により確認できる。歪み電子密度は炭素間の中心からずれている。炭素-炭素結合距離は151 pmであり、ふつうの炭素-炭素結合の154 pmより短い。 シクロブタンはシクロプロパンより大きい環を持つが、それでも曲がった結合は存在する。この分子の炭素の結合角は平面配座で90°、ねじれた配座で88°となっている。シクロプロパンと違いC-C結合距離は増加していて、これは主に1,3-非結合性相互作用によるものである。シクロブタンの反応性は比較的低く、ふつうのアルカンと同じように振る舞う。
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