小ささの利点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 16:59 UTC 版)
以上に見た特性は島の被る不利益が中心であるが、シューマッハーが述べるように、小さいことによる利点(Small is Beautiful)もないわけではない。あらゆるスケールにおいて、地域の人口規模と一人当たり所得水準の間には相関がないことが知られている。例えばバミューダ諸島・ケイマン諸島・英領ヴァージン諸島などの一人当たり所得は世界でもトップクラスである。これらの島々は、オフショアビジネスや資源輸出などの高付加価値サービス業の恩恵に浴している。近年では香港やシンガポール、バーレーンなど、島嶼の制約にとらわれない輸送・通信技術・金融サービス業などによって国際競争に適応した島々もある。エーゲ海のスキヌサ島(ギリシア語版、英語版)の住民は、ヤギ放牧による島の荒廃ののち、世界中の船舶を保有する船主・船長として活躍するようになった。 経済学者プラサドが述べるように「重要でないことの重要性」も特徴的にみられる。リーマンショック時に見られたように、世界経済に大きく組み込まれていない島々では世界的な経済危機の影響を免れたものもある。規模が小さいため貿易摩擦も起こりにくい。コミュニティが密接し市場統合がしやすい、コンセンサスがとりやすいといった特性から、外部の変化に対して柔軟な対応が可能な側面もある。
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