射影集合とWadge次数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 10:23 UTC 版)
「記述集合論」の記事における「射影集合とWadge次数」の解説
記述集合論の多くの問題は究極的には順序数と基数に関する集合論的な性質に依存している。すなわち連続体仮説、巨大基数公理、構成可能性の公理などの集合論のoptionalな公理に依存する。この現象はとりわけ射影集合に対して顕著である。これらはポーランド空間 X {\displaystyle X} 上の射影階層を通して定義される: 集合が Σ 1 1 {\displaystyle \mathbf {\Sigma } _{1}^{1}} とはそれが解析集合であることをいう。 集合が Π 1 1 {\displaystyle \mathbf {\Pi } _{1}^{1}} とはそれが補解析集合であることをいう。 集合 A {\displaystyle A} が Σ n + 1 1 {\displaystyle \mathbf {\Sigma } _{n+1}^{1}} とは、ある X × X {\displaystyle X\times X} の Π n 1 {\displaystyle \mathbf {\Pi } _{n}^{1}} 集合 B {\displaystyle B} に対して A {\displaystyle A} が B {\displaystyle B} の第1座標への射影であることをいう。 集合 A {\displaystyle A} が Π n + 1 1 {\displaystyle \mathbf {\Pi } _{n+1}^{1}} とは、ある X × X {\displaystyle X\times X} の Σ n 1 {\displaystyle \mathbf {\Sigma } _{n}^{1}} 集合 B {\displaystyle B} に対して A {\displaystyle A} が B {\displaystyle B} の第1座標への射影であることをいう。 集合が Δ n 1 {\displaystyle \mathbf {\Delta } _{n}^{1}} とはそれが Π n 1 {\displaystyle \mathbf {\Pi } _{n}^{1}} かつ Σ n 1 {\displaystyle \mathbf {\Sigma } _{n}^{1}} であることをいう。 ボレル集合におけると同様に、任意の n {\displaystyle n} について、任意の Δ n 1 {\displaystyle \mathbf {\Delta } _{n}^{1}} 集合は Δ n + 1 1 {\displaystyle \mathbf {\Delta } _{n+1}^{1}} である。 構成可能性の公理 V = L {\displaystyle V=L} のもとでベールの性質や完全集合性質を持たない射影集合の存在が示される。しかしながら、射影集合の決定性もとで、全ての射影集合は完全集合性質とベールの性質を持つことが示される。これはZFCはボレル集合の決定性を証明できるが、射影集合についてはそうでないことに関係している。 もっと一般に、ポーランド空間 X {\displaystyle X} の部分集合の集まりはWadge次数として知られる同値類に分類される。これは射影階層を一般化する。これらの次数はWadge階層に並べられる。決定性公理はポーランド空間上のWadge階層が整礎で長さΘの射影階層の延長であることを含意する。
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