寒天培地のはじまり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/20 15:16 UTC 版)
微生物の培養において初期に使われたのは、さまざまな栄養素を含んだ水溶液、いわゆる液体培地であった。液体培地の欠点の一つは、雑菌の混入(コンタミネーション)に弱いことである。混入してくることを防ぐのはどのような方法でも簡単ではないことに変わりがないのであるが、液体培地の場合、混入してきた事そのものがわからない場合があり、それが判明したとしても、混入した雑菌などを除去するのも、本来の目的だった生物をそこから確保することも難しい。その点を改良したのが固体培地である。固体であれば、その表面に落ちた微生物が繁殖しても、多くの場合にはその点を中心としたコロニーを作るので、その部分だけ切り捨てコンタミを排除したり、培養対象を取り出して再び純粋に培養し直すことも可能である。 他方、液体培地では、どのような成分を添加するかの自由度が大きく、さまざまな処方が自由に作れる。しかし、ジャガイモを切り取って使うなど、既成の固形物を培地にするのでは、その点が不自由である。そこで、液体培地を何らかの物質によって固めてしまう方法が考案された。当初はゼラチンなども用いられたが、寒天がその目的に非常に便利であることが判明し、現在のように広く使われることになった。同時に、寒天培地を充填して使用する容器として、シャーレ(ペトリ皿)も開発された。これらの微生物培養技術の改良は、おもにロベルト・コッホの下で行なわれたものである。
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