実際の写本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:57 UTC 版)
古い時代に作られて現在まで伝わっている実際の写本は、できあがった写本の完成当時の姿がそのまま伝えられていることは少なく、一部が欠けてしまったり、その欠けた部分を補うために別の写本と組み合わせたり、別系統の本文を持った写本と校合されたりしていることも少なくない。このような状態の写本を元にしてそのまま写した写本を作成したために、最初の完成時点ですでに本文が巻ごとに異なった系統のものになったとみられる写本も存在する。 たとえば、「青表紙本」系統の写本の中ではもっとも良質な本文であるとされて、現在多くの校訂本の底本に採用されている飛鳥井雅康筆の「大島本」の場合ですらも、「浮舟」を欠いた53帖しか現存しておらず、「初音」帖はほかの部分と同じ飛鳥井雅康の筆でありながら、本文自体は「青表紙本」系統の本文ではなく「別本」系統の本文であり、「桐壺」と「夢浮橋」は後世の別人の筆である。また、ほぼ全巻にわたって数多くの補筆や訂正の跡がみられるが、その内容は「河内本」系統の写本に基づくとみられるものが多い。 詳細は「源氏物語の写本の一覧」を参照
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