実用上有用な概念としての自由意志
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 16:59 UTC 版)
「自由意志」の記事における「実用上有用な概念としての自由意志」の解説
ウィリアム・ジェームズの見解は両義的である。彼は「倫理的理由」にもとづいて自由意志を信じるいっぽう、自由意志が存在する科学的根拠にもとづいた証拠はないと考え、また、自分自身の内観も自由意志を支持しない、とした。さらに、ウィリアム・ジェームズは、人間に関する非決定論は道徳的責任の前提要件であると信じる理由で、非両立主義を受け入れなかった。彼は著書『プラグマティズム』において、形而上学的理論を考慮せずに、次のように書いている。「直感や効用は、人々の間で、刑罰や報酬に関する社会的任務を全うするにあたって、安心して信頼されるものである」。彼は、非決定論が救済に関する教えとして重要であると信じていた。この教えは、世界が多くの点から見て悪い状態にあるにもかかわらず、個々人の行為を通じて、よりよい状態になり得るという見方を許容する。決定論は、彼が論じるところによれば、進歩が世界の改善に繋がる現実的な概念であるという考えである進歩主義を破壊してしまう。
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