実生活における明/暗順応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 22:30 UTC 版)
現代では、自動車のようにヒトの通常の移動速度をはるかに超える移動手段を個人が持つようになり、そのため、このような順応がうまく機能しない例が多々ある。 たとえば昼間に自動車の運転をしていてトンネルに入ると、完全に見えなくなる。現在では燈火の点いたトンネルがほとんどであるため危険は減少しているが、往々に事故の原因となった。これに対する対応策として、トンネルに入る前に片目をつぶっておく方法がある。これは「万川集海」で忍者の秘伝として伝えられているものである。 さらに危険なのが、夜間運転で対向車のライトが目に入った場合で、暗順応している眼に強い光が照射されるために、まず目が眩み、その後明順応(数秒)が起き、それからあらためて暗順応するまでは何も見えなくなる。 天体観測や軍の夜間行軍のような暗所における行動において、器械の操作や星図、地図などの図表に視力を必要とする場合、赤色光による照明を用いる。これは、錐体と桿体の感度曲線の差(参考:プルキンエ効果)を利用し、桿体の感度の低い赤色光を用いることで桿体の飽和を防ぎつつ錐体による視力を確保する方法である。同様に、暗室内と明るい外部を行き来する必要がある場合は、赤色のサングラスをかけておくことによってロドプシンの分解を防ぐことができるため、暗順応にかかる時間を削減することができる。
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