実・複素埋め込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/09 03:44 UTC 版)
Q(√2) のような数体は、実数体の部分体として特定できる。Q(√−1) のような数体は、できない。抽象的には、そのような特定は体準同型 K → R あるいは K → C と対応する。これらはそれぞれ実埋め込みと複素埋め込みと呼ばれる。 実二次体 Q(√d) は、2つの実埋め込みを持ち複素埋め込みを持たないから、そのように呼ばれる。埋め込みはそれぞれ √d を √d と −√d に送る体準同型である。双対的に、虚二次体 Q(√−d) は実埋め込みを持たず、複素埋め込みの1つの共役対を持つ。埋め込みの1つは √−d を √−d に送り、もう1つはそれをその複素共役に送る。 慣習的に、K の実埋め込みの個数は r1 と書かれ、複素埋め込みの共役対の個数は r2 と書かれる。K の符号は対 (r1, r2) である。d を K の次数としたとき,r1 + 2r2 = d となることは定理である。 すべての埋め込みを同時に考えることで関数 M : K → R r 1 ⊕ C 2 r 2 {\displaystyle M\colon K\to \mathbf {R} ^{r_{1}}\oplus \mathbf {C} ^{2r_{2}}} が決定される。これはミンコフスキー埋め込みと呼ばれる。複素共役によって固定される終域の部分空間は次元 d の実ベクトル空間であり、ミンコフスキー空間(英語版)と呼ばれる。ミンコフスキー埋め込みは体準同型によって定義されるから、元 x ∈ K による K の元の積はミンコフスキー埋め込みで対角行列を掛けることに対応する。ミンコフスキー空間上のドット積はトレース形式 ⟨x|y⟩ = Tr(xy) に対応する。 ミンコフスキー空間における O の像は d 次元格子である。B をこの格子の基底とすると、det BTB は O の判別式である。判別式は Δ あるいは D と書かれる。O の像の余体積は √|Δ| である。
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