定義・公準・公理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 10:15 UTC 版)
「ユークリッド原論」の記事における「定義・公準・公理」の解説
『原論』ではいくつかの定義からはじまり、5つの公準(要請)と、5つ(又は9つ)の公理(共通概念)が提示されている。議論の前提となる点や線、直線、面、角、円、中心などの概念が定義され、次のような5つの公準を真であるとして受け入れることにより、作図の問題の基礎を明確にしている。 任意の一点から他の一点に対して直線を引くこと 有限の直線を連続的にまっすぐ延長すること 任意の中心と半径で円を描くこと すべての直角は互いに等しいこと 直線が2直線と交わるとき、同じ側の内角の和が2直角より小さい場合、その2直線が限りなく延長されたとき、内角の和が2直角より小さい側で交わる。 これらのうち5番目の公準については古代より、他の公理、公準に比して突出して複雑であることから、自明とするには疑問とされていたが、この疑問により、近代に至ってこの公準が成立しないとする幾何学である非ユークリッド幾何学の発端となる。さらに公準の後に次のような公理が示される。これはあらゆる学問に共通の真理として受け入れられるものであり、研究において常に参照すべきものとされている。 同じものに等しいものは、互いに等しい 同じものに同じものを加えた場合、その合計は等しい 同じものから同じものを引いた場合、残りは等しい [不等なものに同じものを加えた場合、その合計は不等である] [同じものの2倍は、互いに等しい] [同じものの半分は、互いに等しい] 互いに重なり合うものは、互いに等しい 全体は、部分より大きい [2線分は面積を囲まない] ただし[]で囲まれた公理は公理に含めないことがある。第5公理は第2公理から導かれる。また第9公理を現代的に言い換えると「異なる2点を通る直線はただ1本だけ存在する」となる。第9公理は幾何学に関するものなので、本来は公準に含められるものと考えられる。
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